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お好み焼きに金時豆 徳島の「豆天玉」 甘味×ソース 食感も乙

2014/12/10 日本経済新聞 夕刊

金時豆を入れたお好み焼き「豆天玉焼き」は徳島市のソウルフードだ。金時豆の甘さとお好みソースの甘辛さが調和した癖になる味で、市内の多くのお好み焼き店のメニューに入っている。最近はご当地グルメとしての認知度も高まりつつあり、豆天玉焼きを食べるために県外からやって来る人も増え始めている。

金時豆と天ぷらを入れる(徳島市の「花んらん」)

徳島は江戸時代の藍商人が大阪に進出するなど地理的に近い関西圏との交流が昔から盛んだ。戦前に水で溶いた小麦粉を焼いてソースをかける「洋食焼き」が伝わってきた。戦後、野菜や魚介類、肉などお客の好みの食材を入れるようになり、いわゆるお好み焼きになった。

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徳島県は製塩業が盛んだった地域で、労働の疲れを癒やし、日ごろは珍しかった甘い物が好まれた。その一つが甘く煮込んだ金時豆で、ちらしずしの具に使われるなど徳島の家庭で親しまれている。戦後まもなく、お好み焼きにも入れられるようになったのが「豆天玉焼き」のルーツだ。

金時豆以外には卵や徳島独特の小エビの天ぷらを入れる。天ぷらを入れたのは肉などがなかった洋食焼きの時代にぜいたく感を出すためだったとされる。モチッとした生地と金時豆のほっこり感、甘辛いお好みソースと甘い金時豆という食感や味わいの変化を楽しめるのが魅力だ。

JR徳島駅近くにある「ニュー白馬」の豆天玉焼きは、からしと砂糖を隠し味にした甘口の自家製マヨネーズと店で炊き上げる金時豆が調和した甘みを楽しめる。イカや豚肉などが入ったお好み焼きに金時豆を入れたメニューも人気だ。

県の特産品で糖度が高いサツマイモ「なると金時」と金時豆入りのメニューにも力を入れる。「春夏ニンジンなど徳島の代表的な食材と豆天玉焼きを融合した新商品開発にも挑戦したい」と店主の西尾謙三さん(74)は語る。

徳島駅から3駅先のJR鮎喰駅近くにある「花(か)んらん」は特製うま辛ソースを使った豆天玉焼きが売り物だ。ソースには「ミリス」と名付けた辛み調味料が入っている。スリランカ製のトウガラシがベースで、うまみも含んだほのかな辛みが特徴だ。甘く煮た金時豆との調和が楽しめる。

店主の丸岡まゆみさん(58)は「豆入りを注文する人は中高年が多かったが、最近は20~30代の若い人や大阪、高知など県外の人も食べに来る」と話す。

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