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介護に備える

2014/11/28

介護に備える

会議には認知症の当事者も参加した。10月に発足した「日本認知症ワーキンググループ」の共同代表を務めている藤田和子さん(53)は「認知症になったすべての人が希望と尊厳を持って暮らせる社会になるよう、どの分野の人たちも我が事として真剣に取り組みましょう」と訴えた。

認知症に対する各国の取り組みについて議論を交わす国内外からの出席者ら(5日、東京都内)

認知症をめぐる大がかりな国際会議が日本で開催されるのは初めて。討議結果は、来年3月にWHOが開く各国の保健相会合で報告される予定で、国際連携の輪は今後も広がりそうだ。

会議の意義について国立長寿医療研究センターの遠藤英俊部長は「各国の関係者が活発に意見を交わしたことで、認知症対策の重要性の認識がより深まった」と指摘する。また東京都健康長寿医療センターの粟田主一研究部長は「認知症の当事者の考えや思いを取り入れて施策に反映させよう、という流れになったことは大きな功績だ」と話した。

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日本、年内に国家戦略 16年度から1万人追跡調査

国際会議開催をきっかけに、日本政府も認知症予防政策の強化を打ち出した。会議に出席した安倍晋三首相が、新たな国家戦略を年内に策定する方針を表明。政府は全国の約1万人を対象にした追跡調査を2016年度から実施することも決めた。

国家戦略は、認知症施策推進5カ年計画(オレンジプラン)に代わる包括的な内容とする。行方不明者への対応や悪徳商法対策など省庁横断的な施策を含め年末の予算編成に反映させ、来年度から実行する。

1万人調査は認知症を発症していない人が主な対象で、16年度から5年間をメドに実施する。食事や喫煙、運動の有無などに加え、血液のデータも収集し、認知症になった場合、生活習慣などがどう影響したかを探る。認知症の発症メカニズムを調べたり、予防や治療法に生かしたりする考えだ。

(平野慎太郎、塩崎健太郎)

▼認知症サミット
 増え続ける認知症への対策には各国政府の連携が必要だとして、昨年12月に英ロンドンで初の「主要国(G8)認知症サミット」が開かれた。参加国は認知症の治療法などを2025年までに確立することを目指し、各国が研究費を大幅に増やすことを盛り込んだ共同宣言を発表した。今回の日本での国際会議は昨年の後継イベントで、次回は15年に米国で開かれることが決まっている。

[日本経済新聞夕刊2014年11月27日付]

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