道案内や音声翻訳 外国人の観光、アプリがお助け
日本の文化紹介
外国人向けのお役立ち情報を集めているのが成田国際空港の運営会社であるNAAが提供する「TABIMORI」だ。電車やタクシーの乗り方、旅館や温泉の使い方、日本料理の写真入りメニューや注文方法といった生活・文化情報のほか、天気予報や通貨換算、鉄道経路検索、会話フレーズ集、トラブル時に備えた大使館連絡先一覧まで、実用的な情報を閲覧できる。
TABIMORIは、ホテルの無線LAN以外に通信環境を持たない外国人向けに「オフラインでもなるべく多くの情報を見られるよう配慮した」(NAA)のが特徴だ。天気予報や通貨換算は読み込んだデータをアプリ内に数日保持するため、オフラインのまま街中に出かけてもアプリを活用できる。鉄道経路検索は今のところ通信環境が必須だが、これも近くオフラインで検索できるよう改良する予定だ。
NAAは観光客向けの翻訳アプリ「NariTra」も出している。スマホに文章を入力すると、翻訳語が表示される。タイ語やフランス語を含む7カ国語に対応し、うち英語や中国語など4カ国語は文字入力だけでなく音声で話しかけて入力することも可能だ。情報通信研究機構(NICT)が開発した翻訳アプリ「VoiceTra」を基に、外国人の訪日観光でよく使われる交通や観光名所、買い物などの用語を追加している。
ナビタイムジャパン(東京・港)が提供する英語の経路検索アプリ「NAVITIME for Japan Travel」は鉄道経路検索のほか、現在地周辺の施設を探す機能がよく使われているという。「ホテルの近くにある100円ショップやディスカウントストアを探すのに重宝されているようだ」(同社)。このほか同アプリでは、無料で使える公衆無線LANのアクセスポイントの検索機能も備える。
画面を指さし
「セブン銀行ATMナビ」は現在地の近くにある同行のATMを検索するアプリだ。同行の契約者でなくても利用可能で、日本語に加え英語に対応して外国人観光客が使えるようにしている。同行のATMは海外のキャッシュカードやクレジットカードによる現金の引き出しが可能で、空港で両替した日本円が足りなくなったときなどに重宝されている。土地勘のない場所でもATMの場所が分かるよう、カメラで映した風景にATMの方角を示す矢印を重ね合わせて案内してくれる。
店舗や施設の従業員に向けた実用的なアプリもある。「旅の指さし会話帳」で知られる情報センター出版局(東京・新宿)は、外国人観光客と接する国内のサービス業向けに電子書籍アプリ「指さし接客会話」を提供している。書籍の指さし会話帳と同じく、よく使われるフレーズが訳語やイラストと共に載っており、画面を相手に見せながら指さして意思疎通を図る。
さまざまな業種で共通して使える「基本フレーズ集」(350円)のほか「すし屋」「病院」「交番」「電車」「家電量販店」など13の業種別アプリ(各1200円)も用意(アンドロイドの場合)。「いつから具合が悪くなりましたか」「ガソリンは満タンで返してください」など具体的な内容を、日本語と英・中・韓・タイの4カ国語との対照でやり取りできる。
(電子報道部 金子寛人)
[日本経済新聞夕刊2014年11月27日付]
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