若者の失業率 なぜ高い

厚労省と横浜市が設置した「よこはま若者サポートステーション」(横浜市西区)に足を運ぶと、運営を委託されているNPO法人ユースポート横濱・理事長の綿引幸代さん(56)が案内してくれた。働く意欲があっても行動を起こせない若者らの相談に乗っている。昨年度の若者の延べ利用者は約1万2千人。「高度なコミュニケーション能力が必要な仕事などに、ついていけない若者が多いのです」

「やむなく非正規で働く若者や無業者は『隠れ失業者』ともいえます」。『なぜ日本は若者に冷酷なのか』の著書がある中央大学教授、山田昌弘さん(56)が話に加わった。「親と同居して生活費をやりくりする若者が多いのが実情です。若者が将来に希望を持てないような雇用や社会保障制度を根本から見直すときがきています」

「若者にもっと活躍の場を与えよう」と話す所長に「うちは中高年にもっと働いてほしいです」と明日香が応戦。

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■独特の新卒採用制度 光と影

若者の失業率を国際比較すると、日本の水準は決して高いわけではない。国際労働機関(ILO)の調べによると、昨年の15~24歳の失業率は世界全体で13.1%と前年に比べて0.2ポイント上昇した。地域別に見ると、北アフリカや中東は30%近く、欧州連合(EU)を含む先進国全体でも18.3%。若者の失業は世界各地を揺るがす大きな問題になっている。

日本の若者の失業率が相対的に低いのはなぜか。慶大教授の太田聰一さんは「日本の教育水準の高さと、正社員を新卒から一括採用する日本独自の仕組みがうまくかみ合ってきた」と説明する。仕事のスキルが身についていない新卒の若者でも、卒業と同時に就職できるのは「若者に有利な仕組みであり、今後も維持した方がよい」とみる。

半面、新卒一括採用のコースからはずれた若者には再チャレンジの機会がなお少ない。「正社員と非正規社員の処遇格差や無業者の問題など一括採用の弊害が大きくなっており、中途採用の拡充なども必要」と中央大教授の山田昌弘さんは話す。欧州などでは失業者への手当が手厚い国も多く、「日本の若者は他の地域よりは恵まれている」とは必ずしも言えない。

山田さんが主張するように、日本の雇用・社会保障制度に思い切ってメスを入れないと、「若者に冷酷な世の中」はなかなか変わりそうもない。

(編集委員 前田裕之)

[日本経済新聞朝刊2014年11月18日付]

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