若者の失業率 なぜ高い

■「雇用の調節弁」採用変動

井上さんの調査では、入社3年以内に会社を辞めた若者の約7割は「会社に不満があった」と回答した。厚生労働省によると「大卒の新入社員の約3割が入社3年以内に会社を辞める」傾向が20年以上続いている。「若者とコミュニケーションをもっと活発にしないと、定着率は上がりません」

明日香は次に、人口問題に詳しい法政大学教授の小峰隆夫さん(67)の研究室へ。「企業は今、新卒採用に積極的ですが、油断はできません」。正社員を解雇しづらい日本企業は、景気変動に応じて新卒採用を増減させてきた。「少子化で貴重な存在なのに『雇用の調節弁』になってきた若者たちは、雇用が延長された高齢者など他の年齢層より失業率が変動しやすく、卒業時の雇用情勢に人生が大きく左右されます。解雇規制の見直しなど正社員の雇用保障を弱める改革を求めます」

「政府はどう対応しているのかな」と質問する所長に促され、明日香は厚労省に向かった。若年者雇用対策室長の牛島聡さん(43)は「企業が正社員の雇用保障を弱めると若者にかえって敬遠される面もあり、なお議論の余地があります。正社員の若者をできる限り増やすのが、政府の当面の目標です」と力を込めた。失業率の水準だけでなく、正社員になりたいのに、パートやアルバイトとして働く若者や、働く意思がない「ニート」と呼ばれる若者にも注目しているそうだ。

総務省の調べによると、25~34歳の労働者の約3割が非正規雇用で、そのうちの約3割が「正社員の仕事が無いから」と不満を感じている。また、ニートの総数は約60万人と10年以上、横ばいだ。「ハローワークに若者コーナーを設けて正社員での採用を促しているほか、ニートの就業支援にも取り組んでいます」

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