医薬・薬学・看護… チーム医療、大学が育む

医師、看護師、薬剤師など職種間の連携を高めようと、学部の枠を超えて「チーム医療」を教える大学が増えている。医療の高度化でより専門的な知識や技術が求められるとともに、それぞれの専門性を生かして患者のニーズに柔軟に対応できるようにする狙いがある。医療現場は医師が中心になりがちだが、学生時代から連携の大切さを実感し、患者本位の医療を目指す。

■協力し療養計画

学部を超えたチーム医療教育を実践する兵庫医科大学の学生ら(兵庫県西宮市)

「がんの痛みで座るのがつらい」。9月中旬、帝京大学(東京・板橋)では、医学部、薬学部、医療技術学部看護学科の4年生が大腸がんを再発した50代男性の訴えへの対処法を議論していた。

医学部の学生が「鎮痛剤の増量を検討する必要がありそう」と発言すると、「副作用を考えると慎重な処方が必要では」と薬学部の学生が応じる。看護学科の学生は「クッションなどで姿勢を変えて痛みを和らげる工夫もある」と提案した。

同大学は今年度から多職種が連携するチーム医療を学ぶ「医療コミュニケーション」をカリキュラムに加えた。医師、薬剤師、看護師を目指す4年生計約530人が7、8人のチームになり、患者の検査データや処方薬、家庭や仕事の状況、訴える身体症状や不安感なども考えながら約2時間かけて練った療養計画を順番に発表した。その後、付属病院の医師と看護師、薬剤師らが同じ症例をもとに療養計画作りを披露した。

学生からは「将来、どのようにほかの職種と協力して患者と向き合えばよいか実体験をもって学べた」(医学部)、「どの職種も上下関係はなく対等と実感した」(薬学部)、「患者が抱える問題への対処法の発想が職種により異なることに気づいた」(看護学科)などの感想が挙がった。

演習の運営責任者の楯直子・薬学部教授は「座学で聞くのと実際に体験するのは大きな違いがある」と説明。「病院内だけでなく、さまざまな職種が訪問する在宅医療でもチーム医療は重要性が高まっている」と強調する。

■キャンパス統合

岩手医科大学(盛岡市)は07年に薬学部を新設し、医学部と歯学部の3学部体制になった。それまで別々だったキャンパスを徐々に統合、学部を超えた授業を導入している。さらに別の法人が運営している岩手看護短大(岩手県滝沢市)の看護教育を統合して同じ敷地内で看護学部を開設する準備を進めている。1つのキャンパスで4学部の学生が授業を受け、学部間の連携がしやすいように整備する。

「医療が高度化しており、それぞれの分野の専門家が連携することが不可欠」という同医大の小川彰理事長は「4学部を連携させることで現場のニーズに応えていきたい」と指摘する。

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