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岐阜「栗きんとん」甘くない内実 県産栗 復権へ品質磨く

2014/11/5 日本経済新聞 夕刊

秋の代表的な味覚の「栗きんとん」。岐阜県東濃地方の特産で、栗に砂糖を加えて炊き上げ、布巾で絞る。シンプルながら上品な甘み、ほくほくとした食感で、賞味期限が2~4日と短いことも、季節感のある和菓子として人気を集める。

従業員が一つ一つ絞って栗きんとんに仕上げる(岐阜県中津川市の川上屋本店)

恵那山の麓に広がり、旧中山道の宿場町として栄えた中津川市。現在、約30の和菓子店が栗きんとんを製造し、「川上屋」「すや」など東京、大阪、名古屋の百貨店で販売する店もある。JR中津川駅前には「栗きんとん発祥の地」の石碑が立ち、毎年9月9日に栗節句の神事を営む。

中津川観光協会の「にぎわい特産館」は、市内15店の栗きんとんを1個220円からばら売りしている。鈴木とも子店長(66)は「栗きんとんは栗と砂糖だけを使う究極の生菓子。栗あん、栗粒など各店の味の違いを楽しんで」と話す。

中津川市の川上屋本店。工場に入ると、温かくふわっとした甘い栗の香りに包まれる。蒸して裏ごしした栗を従業員が手際良く栗きんとんに仕上げていく。30グラム弱の栗を布巾に乗せ、てるてる坊主を作るように絞ってしわ模様を作り、親指で押さえて形を整える。

8月下旬から12月まで、ピーク時には1日3万個製造する。年間約100トンの栗を市場から仕入れ、加工・冷凍・解凍をして生産する。原善一郎社長(70)は「栗きんとんはほくほく感が大事。栗は果肉が粉質の熊本、宮崎産を使う」と言う。中津川では県産栗はほとんど使われていないのだ。

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もうひとつ、発祥の地を名乗る八百津町を訪れた。「元祖 栗金飩(きんとん)」の看板が立つ緑屋老舗。明治末期に3代目の白木鍵次郎が初めて作ったという。5代目の白木功一さん(72)は「当時は栗金飩ではなく、栗金糖と呼んでいたようだ」と語る。

店の奥の工場には、ひときわ香ばしい栗の香りが漂う。栗あんをじか火で焦げ目が付きそうなほどじっくり炊き上げる。栗は地元農家から年間20トン余り仕入れ、100%県産栗で賄う。9月から翌年4月まで販売するが、生産量は最盛期でも1日8千個。6代目の恭之さん(42)は「規模拡大はせず、新鮮な地元の栗にこだわりたい」と話す。

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