ひも、結べますか 「結びの王様」でコツつかむちょう結び、日本人の3割が間違い?

■初心者の学習法 4分野を覚える

小暮さんは初心者にお勧めの結びの学習法として、ひもやロープで(1)こぶを作る(2)2本をつなぐ(3)柱などに結びつける(4)輪をつくる――という4分野で、それぞれ基本的な2種類の結びを覚えるといいとアドバイスしてくれた。様々な場面で活用でき、その後の難しい結びにも応用できる。

話を聞いてから、帰宅後などの時間を使って基本の結びを中心にやってみた。まず2本のひもをつなぐ際によく使う本結び。ひもをひねった部分の上に、もう一度巻きつけて引くだけの手順だが、これも縦結びになってしまった。

失敗の原因は、ちょう結びのときと同じだった。無意識にやってみたところ、記者は両手でひもを持った場合に利き手の右手をまず上からかぶせるくせがある。しかし、実際の結びでは下をくぐらせる場合も多い。ひとつ間違えただけでも正確には結べない。どの結びでもしっかり手順を意識して繰り返すことを肝に銘じる。

やってみた基本の結びの中でも特に気に入ったのが、もやい結びだ。船を係留する(もやう)時に使われたことから名前がついたもので、英語ではキングオブノット、つまり「結びの王様」と呼ばれている。シンプルだがしっかり結べて、しかもほどきやすい。

王様からは結びのリズム感の大切さも教えてもらった。1ステップ目に左手側に輪をつくることから始まり、輪を引き締める5つ目のステップまで、頭の中で「ワ」「シメル」とつぶやきながらリズムに合わせて結んでいく。これはほかの結びにも役立った。

練習では苦い思いを味わった。試しにやってもらった同僚や妻は難なくきれいな結びを作れるのに、自分は何度やっても間違える。難しい結びは30分以上かかってもできず、自らの図を読み取る力や空間認識力の弱さを思い知らされた。

約1週間後、小暮さんに教えてもらった4分野でいくつもの結びができるようになった。ただ、体の向きや左右で持ち手を変えたりすると途端に混乱してしまうこともあった。今でも結びの構造をしっかり理解できたと自信を持っては言えない。

本音ではもう少し難易度の高い結びにもたどり着きたかった。ただ難しいものでなくても、自分で結んできれいにそろった結び目をみるのはとても気持ちがいい。8の字結びのシンプルでかわいらしい姿には愛着さえわく。自分も子どもにかえったつもりで地道に結びを覚えていこう。

ロープで編んだコースター
ひもで縛ったワイン

記者のつぶやき
■生み出す楽しさを実感
小暮さんによると、最近は小物を作ったりラッピングするために結びを習う人が増えているという。記者もコースターを2種類作ってみた。少し不安定だが悪くない出来栄え。ひもで2本を一緒にしばったワインの瓶は、持ち運びに便利だしワイルドで格好いい。
世界には名前がついているだけでも4千種類以上もの結び方があるそうだ。人は生活の必要や便利さを求めて様々な結びを生み出してきた。ただ、自分でコースターなどを作ってみてわかった。1本のひもやロープが生み出す形の不思議さや自在に扱う楽しさも、数え切れない結びを生み出す原動力になっていたのだろう。
(高田哲生)

[日経プラスワン2014年11月1日付]