■店の世界観も読み解く

メニューの書き方は1990年代後半から大きく変化している一面もある。若手シェフが斬新な料理を創作する街中の店などで、伝統的な表記の仕方にこだわらず、自由な書き方で店の料理の世界を表現するようになってきた。

料理評論家の山本益博さんによれば、一つの長い文で料理名を表現するのではなく、主な材料の名前だけ簡潔に記し、その次の行に付け合わせなどを簡単に書く店が増えている。さらに最近では主な材料の名前だけしか書かないところも出てきている。

海外の先端のレストランでは、例えば日付や主な材料名とシェフのサインだけ書いた紙をわざと丸めてテーブルに持ってくる店もあるという。まるで丸めて捨てるかのように現在の料理を否定し、いつも新作に挑戦しているというメッセージを込めているようだ。

また別の店では、古い時代の料理を現代的によみがえらせ、メニューを見れば料理の歴史を読み解けるような店もあるという。「メニューはとても大事。そこに表現されたシェフの世界を楽しみたい」と山本さんは言う。

(編集委員 平田浩司)


[日経プラスワン2014年11月1日付]