B型、体内に潜み再活性化の恐れ 増える性交渉感染肝炎 変わる治療(下)

B型肝炎の治療では、ウイルスの増殖を抑える「核酸アナログ製剤」や免疫の機能を高めてウイルスの排除を目指す「インターフェロン」を用いる。核酸アナログ製剤では今年5月、エイズウイルス(HIV)向けに使われていた「テノホビル(一般名)」がHBV治療に使えるようになった。

従来の薬が効かなくなった耐性ウイルスでも効果が期待できるという。ただし増殖を抑えるだけなので薬を飲み続ける必要がある。

一方、インターフェロンはだるさや発熱、筋肉痛などの副作用の懸念が強い半面、耐性ウイルスが出現しにくい利点がある。半年~1年間、週1回のペースで注射するのが基本だ。

通常、35歳以下を目安に若い人はインターフェロンでウイルスを排除し、薬を飲まなくて済む形を目指す。ただウイルスを排除できる割合は低く、「核酸アナログ製剤でウイルスの増殖を抑える治療になることが多い」と東京医科歯科大学の朝比奈靖浩教授は話す。

■生肉食べE型も

治療を難しくしている原因にはウイルスの「再活性化」もある。HBVはいったん検出されなくなっても、肝臓の細胞にウイルスがすみ続けている場合があることが分かってきた。「成人でB型肝炎にかかったことがある人の肝臓を移植した人が、B型肝炎を発症したことなどから判明した」(朝比奈教授)。移植では病原体などから身を守る免疫機能を抑える薬を使うため、ウイルスが再び暴れ出しやすくなる。

また、B型肝炎が治ったと思われていた患者が悪性リンパ腫を患い、その治療薬を投与中に体内にいたウイルスが再び増加。その後、急に重い肝炎になって亡くなったケースも報告されている。

体内に潜んでいるウイルスを完全に排除できる治療法は今のところない。朝比奈教授は「B型肝炎の感染歴があり、がんや関節リウマチなどを発症した場合は、治療を始める前に主治医に伝えることが大切だ」と強調する。

B型やC型以外で注意したほうがよいのがE型肝炎だ。野生のシカやイノシシの肝臓にE型肝炎ウイルス(HEV)が感染している場合があり、これらの肉を十分加熱しないまま食べると人にも感染する。市販のブタのレバーでも感染例がある。潜伏期間が半月~数カ月程度あり、原因の特定が難しい。肝臓を保護する治療で回復することが多い。

2011年の焼き肉チェーン店での集団食中毒を受け、厚生労働省は飲食店でのウシの生レバーの提供を禁止した。その代替としてブタの生レバーを提供する店が増えているという。こうした事態を受け、厚労省はブタでも生食を禁じる方針だ。野生鳥獣肉(ジビエ)も十分加熱することを肝に銘じたい。

岩井淳哉が担当しました。

[日本経済新聞夕刊2014年10月31日付]

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