レディーファーストのマナー 臨機応変に対応

立食パーティーなどで部下の女性に飲み物を持ってくるように頼むのは失礼にあたるとされる。女性にお酒をついでもらうのも、欧米人から見れば違和感があるという。

ただし、堺さんは実際に女性尊重のマナーで行動するかどうかは「臨機応変に考える必要がある」と強調する。

欧米ではレディーファーストのほかに「序列を守る」というのも大事な決まりごとになっている。アジアなども含めて考えると、役職などの序列を優先するのか、女性尊重を優先するのかは国によって異なる。相手国の習慣を見極めて対応した方がよさそうだ。

■序列守る規則も

片方の手でドアノブをおさえ、女性を案内する

日本企業では一般的に欧米以上に組織の序列を重んじる。このため同僚の女性などにはレディーファーストで振る舞って構わないとしても、上司や取引先と一緒の場面では、序列が上の人を優先した方が適切な場合が多い。「状況に応じてマナーを切り替えることが大事」と堺さんは話す。

最近は男女平等が進む米国社会などでレディーファーストの習慣が薄れてきているという見方もあるが、基本的に米国の人には大切なマナーと考えておく必要がある。伝統が色濃く残っている欧州企業の人を相手にする場合はなおさらだ。

海外企業での勤務経験が長く、グローバル人材を育てる塾を手がける鈴木美加子さんは「欧米では文化として深く根づいているので、男女平等が広がっている職場でも女性に対するマナーとして心がけた方がよい」と助言する。

ただレディーファーストは普段から練習しておかないと身につかない。このため鈴木さんは、若手会社員や起業家らを対象に開いているビジネス英語や文化理解などの講座で毎回、参加者同士での実践を義務づけている。

最初はぎこちなかった人も繰り返すうちに「かなり板に付いてくる」と言う。日ごろの練習を通じてレディーファーストを柔軟に実践できるようになる可能性はありそうだ。まずプライベートでやってみるのが手近な方法かもしれない。

(編集委員 平田浩司)

[日本経済新聞夕刊2014年10月27日付]

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