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おきな・ゆり 東京出身。84年慶大院修了。日銀勤務を経て日本総研に。2018年から理事長。金融審議会、規制改革会議などで経済政策を提言してきた。

おきな・ゆり 東京出身。84年慶大院修了。日銀勤務を経て日本総研に。2018年から理事長。金融審議会、規制改革会議などで経済政策を提言してきた。

迷ったときに読む。

座右の書は河合隼雄さんの『こころの処方箋』です。気づきをくれる55の短編が載っていて、悩んだり迷ったりしたときに読んでいます。

臨床心理学のたいへんな学者さんなのに「人の心などわかるはずがない」という章から始まっています。心と向き合うのは覚悟が必要なんだということを前提として、断定的ではなく、やさしい言葉で書いている。例えば「道草によってこそ『道』の味がわかる」という言葉は、目先のことにとらわれず、さまざまな経験や苦労が後で生きてくるということを教えてくれる。「二つの目で見ると奥行きがわかる」には、何事も客観的に見ていこうという気づきがあります。

おきな・ゆり 東京出身。84年慶大院修了。日銀勤務を経て日本総研に。2018年から理事長。金融審議会、規制改革会議などで経済政策を提言してきた。

おきな・ゆり 東京出身。84年慶大院修了。日銀勤務を経て日本総研に。2018年から理事長。金融審議会、規制改革会議などで経済政策を提言してきた。

私は日本総合研究所の主任研究員だった1999年に、小渕恵三首相が設置した「21世紀日本の構想」という懇談会のメンバーに呼ばれましたが、この会議の座長が河合先生でした。気さくでユーモアがあって、しょっちゅう冗談をおっしゃっている。あたたかいお人柄の方でした。

この本は「これが答えだよ」というものを出してくれるのではありません。でもめくっていくと、考えさせられるヒントがあります。30代で読んだときには分からなかった言葉が、いま読み返すと深いなあと思うこともあります。「100%正しい忠告はまず役に立たない」とか「うそは常備薬、真実は劇薬」とか、実に面白い。

ダイナミックに変化する社会を切り取るアプローチに生かす。

92年に日本銀行から日本総研に移ってから、不良債権問題や政府系金融の改革、国際金融危機、コーポレートガバナンスなどの研究に取り組み、政策提言をしてきました。2000年代に入ると、金融がどうなっていくのかという議論が活発になりました。デリバティブ(金融派生商品)とか、新しい金融技術による革新が進んできたころです。

このときに役立ったのが『金融の本質』です。金融システムは制度や機関という静態的なものではなく、機能でとらえることが大事であると説いています。私も金融の機能を十分発揮させるには何が必要なのかという軸を考えていたので、この本の考え方は有益だと思いました。

やり方は異なっていても機能が同じ金融サービスがある。そうであれば規制や税率が異なるのはおかしい。金融サービスの品ぞろえを信頼される形でたくさん提供し、利用者が選択できるようにすることが大事なんだ。そんな議論をしていきました。

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