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石坂産業社長 石坂典子氏

石坂産業社長 石坂典子氏

父から継いだ産業廃棄物処理の石坂産業(埼玉県三芳町)だったが、石坂典子社長の「代表権のない社長」という修業期間は10年続いた。その間に代表取締役会長である先代と上手に接するテクニック、若い社員に「恥をかかせて」自発性を引き出すマネジメント術などを編み出していく。男性主導の会社や業界でも女性はリーダーになれる。そのためには「広い視野を持とう」と助言する。

――世の中には、親子間の事業継承でつまずく会社も多いようですが。

「私が一社員だったころは父は会社を継がせるつもりはなく、優しかったです。しかし自ら望んで『お試し社長』になってからは日々特訓。経営の勉強などしたことがなかったため、社員たちのいる前でもよく怒鳴られました」

「父は裸一貫、タクシーやダンプの運転手を経て解体業を始めました。毎日、大量のゴミを埋め立て地に運ぶ中で、こういう世の中が続いてはいけないと現在の場所でリサイクル業に転じたのです。先が読め、自分で決断し、ぶれずに進む。そのぶん説明が下手だし、人の話をじっくり聞くタイプでもありません。会社の人も父の言葉を待ち、察して動く。寄ってくる人と遠ざける人をはっきり分ける人でもありました」

「私の代になったら同じやり方は通用しません。しかし会社を変えるには、すべて父の了解が必要です。長い話を聞くことは苦手で仕事を中断されるのも嫌いな父。そこで毎朝短時間、私の話を聞く時間をつくってもらうことにしました。提案の優先順位を考え、厳選して簡潔に話し、了解を取りつけるための訓練になりました。後に代表権をもらい、今は父は一切経営に口を出しません」

会社の理念に共感して全国から若い社員が集まるようになった

会社の理念に共感して全国から若い社員が集まるようになった

――管理職の女性が男性経営者に「話を通す」時に広く応用できそうですね。

「若い頃の私がそうでしたが、こちらの都合だけで話しかけてはダメ。理屈だけでは時に相手の気分を害する。提案に目も通してくれず却下されることもありました。様子をよみ、手順や戦略を考えるんです」

「上司が話を聞いてくれない、と悩む女性も多いようですね。しかし自分の立場が上がれば、社外のもっと難しい相手とも交渉しなければなりません。上司くらい上手に操縦しちゃいましょ、と言ってあげたい」

「働く女性の多くは、まだ働きづらさに悩んでいるのが実情でしょう。でも、世界では女性が職場で活躍しているのが普通です。自分の会社の中だけを見て悩むより、広い世界や遠くの未来を見て行動してほしいと感じます」

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