苦手克服より得意分野へ

――今、社員の半数は20~30代。若い社員のやる気を引き出す秘訣は。

「成長の場と機会を与えること。そのための失敗体験と適材適所でしょうか。例えば新入社員には60時間の研修があります。先生役は若手の先輩社員です。後輩に仕事の方法をうまく伝えるためには、自分自身で仕事を理解する必要があります。同じ理由から役員会での説明を任せることもあります。現場の社員が説明資料を作成するスキルを身につけていきます」

「社外からの見学も増えましたが、説明や司会を新人に任せることも多い。事前準備をしても、リサイクルの仕組みをプロから質問されると、あたふた、しどろもどろ。思っていることと実際にできることの差を知り、段取りなどを工夫するようになります。お客様には『石坂産業の社員はこのレベルか』と思われるかもしれませんが、それでもいい。社員が成長してくれる方が大事なので。研修の場は会社が用意します」

――恥をかくことで自発的に動くようになる。

「重機の操作が未経験な社員も、安全な範囲で挑戦してもらいます。できるのを待つのではなく、やらせてできないことに気づかせる。そうすると、もっとやりたいと思うようになる」

「その結果、苦手な分野がわかった社員には、その人の良い面を生かせる場を探します。人には得手不得手があります。苦手の克服に時間を費やすより、得意なものを伸ばしたい。その方が働く人も楽しいし会社にもプラスです」

「視点や視座を変えることも心がけています。地域の環境づくりに貢献する企業として、全国から理念に共感する若者が集まってくれます。この会社で自分がどう成長できるか。仕事は成長のツールです。社員自身の視点に立ち、次のステップに行く道を一緒に考えるようにしています」

「親子で社員」に感慨

――リーダーとして、もっともうれしかった経験は何ですか。

「社員が、自分の子供を会社に入れてくれたときです。かつては地域の人たちから『出ていけ』と言われていた会社が、仕事の内容を含めよくわかっている社員の目で見て『自分の子を入れてもいい』と思える会社になった。経営者として純粋にうれしかったです」

「これまで工場だけでなく本社ビルもきれいに建て替えるなど、働く環境を改善してきました。それでも廃棄物処理の仕事自体は、やっぱり過酷です。子供に勧めるのは、単に給料や福利厚生などとは異なる魅力が会社にあるということだと思っています。いま180人の社員のうち、親子で肩を並べて通勤している人が6~7組ほどになりました。内勤者の6割は女性。夫婦で働く社員もいます」

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