――社外とうまくやっていくのもリーダーの役割。地域からのマイナスの視線はどう変えたのですか。

「トライ&エラーの繰り返しです。環境を汚していない証拠に敷地でホタルを飼ったけど注目されない。敷地の外周を掃除してもすぐゴミを捨てられる。結局、隣接する緑地をきれいにしないと工場への視線も変わらないと気づき、地主の方々に声をかけて里山再生に取り組み始めました」

「不法投棄が絶えなかった荒廃した雑木林を、生物や花にあふれる森に再生しました。古民家では昔の暮らしを紹介し、環境問題の教室や食の体験会も開いています。後ろめたいことはないという証拠に工場には見学コースを設け、新型コロナウイルス流行前は国内外から年間4万人を受け入れていました」

「里山再生は地域の人たちへのおもてなし。コロナ収束を祈願し、里神楽という伝統の舞を屋外で上演しました。地域に愛される会社になれたとしたら、これもうれしいことです」

(編集委員 石鍋仁美)

◇    ◇    ◇

植物でストレス解消

2児の母。娘(23)はまだ学生だが、息子(24)は石坂産業に入社した。小学生の頃から「将来は入社する」と言い続けていたという。

仕事で大勢の人と会うため、オフは1人で過ごすことが多い。自宅で「雑草系の草」を育てるのが楽しい。土と植物が好きで、グリーンコーディネーターや生け花の資格も持つ。部屋でジャズなどの音楽を聴く時間も心が安らぐ。昔は大型バイクでツーリングを楽しんだが、今はマシンを眺めるだけだという。

いしざか・のりこ 1972年東京都生まれ。92年石坂産業入社、2002年社長に。父の好男氏から継いだ産業廃棄物処理の会社を、国内外からの視察も多いリサイクルの先進企業に変身させた。

[日本経済新聞夕刊 2021年9月16日付]

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