2021/9/16

まずは透明なだし汁とうどんの喉越しを楽しむ。途中でスダチを絞るのもよし、輪切りのまま食べて苦みと酸味を味わうのもよし。客への提供はスダチの入荷しだいだが「9月中は続けたい」(代表の泉衛さん)と言う。

「支那そば三八 黒崎店」の「阿波藍甕ラーメン」

ラーメンも負けてはいない。渦潮で知られる鳴門市の「支那そば三八(さんぱ) 黒崎店」を訪ねた。狙いはスダチ入りの「阿波藍甕(あいがめ)ラーメン」。徳島名物の藍染めに使う甕を模した容器に、豚骨と鶏ガラがベースのラーメンが入っている。

店長の蟹江陽介さんによれば、最大の特徴は「食べた瞬間のインパクト」だ。輪切りのスダチ以外に、スープにも果汁がしっかり入っており、甘辛いイメージが強い一般的な徳島ラーメンとは一線を画す。好き嫌いはあるだろうが、一食の価値ありだ。

徳島県内の小売店を歩けば、スダチ関連の商品の多さに驚く。ポン酢や麺つゆ、焼酎にどら焼き、クッキー、さらにはハンドクリームまで。青果のスダチはハウスや露地物、冷蔵物などがほぼ年間を通じて流通している。

とはいえ一番の旬は9月前後。徳島の風味を堪能してほしい。

<マメ知識>大きさはピンポン球ほど
 スダチとユズとカボスの違い、分かりますか。どれも同じかんきつ類だが、大きさでいえばスダチはピンポン球ほどで小さく、カボスはテニスボール大。その中間がユズになる。産地でいえばスダチは徳島、ユズは高知、カボスは大分の各県が有名だ。
 2019年のスダチの収穫量は約4200トン。昼夜の寒暖差が大きい山間部などで栽培される。酸味が比較的穏やかで香りが豊かなスダチは、焼酎や清涼飲料などとの相性もいい。果皮を擦って薬味にするのもおすすめだ。

(徳島支局長 管野宏哉)

[日本経済新聞夕刊2021年9月16日付]