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米パタゴニアが自社の古着を買い取りリセールする「Worn Wear(ウォーンウエア)」を日本でも始めた。先行する海外で成長する注目の事業だ。古着人気の高まりから国内も機は熟したと判断。「サーキュラーエコノミー(循環型経済)の実現に向け新品よりリセールの売り上げを伸ばしたい」と語るマーティ・ポンフレー日本支社長(51)に狙いや戦略を聞いた。

自社服リセール 「循環型」を追求

――8月、渋谷店の1階に古着店を期間限定でオープンしました。狙いを教えてください。

「すべての製品の寿命を延ばすためです。国内では家庭で使われなくなった服の6割以上が廃棄され、焼却や埋め立て処理されています。アパレル業界は環境汚染産業。何がサステナブルな服なのかと聞かれますが、パタゴニアの創業者が言うように『持続可能性というものはない』のです。私たちは自分たちのことをサステナブルではなく、レスポンシブルカンパニー(責任ある企業)と言っています」

「私たちにできる一番のことは、与える害を最小限にすること。リサイクルの前に、まずは消費を減らす。そして消費者の手に渡った後にどれだけ長く使ってもらうかがカギとなります。今回の試みは、循環型ビジネスをしていく上で極めて重要です。環境問題を生んでいる限りは解決策を示さなければならない。他社が追随したくなるビジネスモデルを作りたい」

――古着ではどのような顧客層をターゲットにしているのですか。

「(パタゴニアのお客さんは40代が中心だが)若い世代を取り込む狙いがあります。新品よりも手に取りやすい価格になるだけではありません。若い方をひきつけるストーリーがあります。幾つかの商品には持ち主の思いを伝える直筆メッセージを付けました。また既存のお客さんには修理も引き受けています」

――古着店は今後どう展開していきますか。

「服のリセールビジネスは大きな成長が見込めます。新製品も作り続けますが、新品よりも古着の売り上げを早く伸ばしていきたい。どのようにパタゴニアのビジネスモデルに落とし込んでいくかはこれからです。古着の売り場をパタゴニアの各店に作っていく可能性はあります。捨てるのであれば私たちの手元に戻してほしい。責任をもって商品化します」

――コロナ禍で消費者の環境への意識に前向きな変化を感じますか。

「日本の方々は欧米ほど環境の問題をあまり懸念していませんでしたが、とくに若い人の関心が高まってきています。ただ未来のために何をすればよいのか分からない。そこで昨年から、高校生や大学生らを対象に気候のための行動を学ぶオンライン講座を始めました。コロナが収まったらリアルの場でも開きたい」

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