ファンケル傘下の「アテニア」は化粧品を中心に、衣料品やファッション小物を扱うブランド。今年33年目の長寿ブランドながら、グループ内でも目立って勢いに乗っている。危機を経て見直したブランディングで、良い品を適正な価格で選びたい消費者の支持を集めている。人気商品のメーク落としを軸にした海外展開でも好スタートを切る。
ブラインドテストで高評価の乳液は3000円前後
アテニアが誕生したのはバブルただ中の1989年。無添加にこだわる「ファンケル」とは別に、一流ブランドと同等の品質でも価格をつり上げず、毎日使いやすいブランドとして立ち上がった。
主力の化粧水や乳液は2000~4000円ほど。医薬部外品の美容液でも5000円ほどで、グローバルな著名化粧品ブランドに比べると低く抑えられている。それでも「製品名を伏せたブラインドテストで、目標にする他社製品よりも使用実感がよいという結果が得られたものしか製品化しない」(アテニアの斎藤智子社長)と、使用感には自信を持っている。
化粧品をめぐる市場環境は、ブランドができた30年前から大きく変化している。アテニアも、売り上げがピーク比4割減となった「存亡の危機」を乗り越えて今に至る。
危機はリーマン・ショックをきっかけに訪れた。バブル崩壊の不景気から持ち直し2007年に売上高は130億円ほどに成長していたが、翌年から業績は不振に陥った。