30代でトップの行動学ぶ

――大蔵省(現・財務省)に入った理由を教えてください。

「学生の頃、検事か弁護士になろうと思っていました。国家公務員試験を受けるつもりはなかったのですが、友人から一緒に受けようと言われ、とりあえず受けてみることにしました」

「冷やかしのつもりで官庁訪問に行ったところ、そこで出てきた風変わりな先輩と2~3時間ほど歴史の話をすることになりました。こういう人がいるなら入省しようと急に考えが変わりました。私が役所に入った頃は、ある種の肉体労働でした。パソコンがなかったので文書を清書し、コピーして配るのが新人の仕事でした」

――どういうキャリアを歩むのでしょうか。

「係長になり、20歳代後半から30歳代前半で税務署長などになります。何十人もいる税務署で、トップとしてどう行動しないといけないかや、対外・対内的な責任をどう取るかを考えさせられました。若いときに留学や国際機関に派遣され、海外の文化にも接します。ある意味で、広い視野を持つ訓練だったと感じています」

「役所はリーダーというより組織で動きます。外に対してみんなが同じ意見を言うといわれますが、みんなうぬぼれて入り、自分が一番正しいと思っていますから内部で結論を出すのは大変なんです。かんかんがくがくの議論をし、その結論には従うのです」

――財務省では早い段階から次官候補を絞り込んでいる印象です。

「次官になるのは基本的に1学年に1人です。意外に思うかもしれませんが、役所の人事の仕組みは極めて優れていると思っています。多くの場合、同じポストにいるのは2年程度です。ということは上司も長くて2年です。そのときの上司の顔色を見る必要はあまりないのです」

次のページ
人事に風通しの良さを
ビジネス書などの書評を紹介
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら