チーム医療教育を中核に据える新潟医療福祉大学でも、コロナ禍に合わせて教育内容を改定している。学部横断で議論するゼミ形式の授業では、コロナ患者が地域社会で差別されないための対策を一つのテーマとする予定だ。

医療現場ではこれまでもチームワークが必要だった。しかし足元のコロナ禍では院内の感染対策などに医療スタッフのマンパワーが取られてしまうため、これまで以上にチーム医療が重要視されている。医師と看護師だけでなく、採血などを行う臨床検査技師やコンピューター断層撮影装置(CT)の撮影にあたる診療放射線技師など、多様な専門職の知見が求められている。

新潟医療福祉大の松井由美子教授は「ワクチンの予防接種の一つをとっても医師や看護師、救急救命士、臨床検査技師など複数の職種の連携が不可欠だ」と話す。その上で「医療現場が変化を迫られている今だからこそ、チームワークを学ぶ教育が重要になっている」と指摘する。

地域医療を変革 プロ意識高い人材育成に力

地域の医療サービスを変革する人材を育てるためにチーム医療教育を取り入れる事例もある。

名古屋市立大ではチーム医療教育を実施する

名古屋市立大学では医・薬・看護の3学部合同の地域参加型学習を必修化。学生でグループワークをしたり、地域の医療機関で啓発活動をしたりする。「チームで地域の医療現場の課題に向き合うことで、医療人としてのプロ意識を育てることができる」(柿崎真沙子特任講師)

チーム医療教育を通じて培った能力は診療だけでなく、病院の運営や医療機関同士の連携といった場面でも役立つ。特に人材不足や少子高齢化などに直面する地域では、病院の経営を変える能力やアイデアが豊富な人材が求められている。

北里大学でもチーム医療を通じて「各地域で新たなシステムを作り上げていく人材を育成したい」(島袋香子学長)という。専門性とコミュニケーションスキルの双方を磨いた人材は、ポストコロナの医療現場でも必要とされるだろう。

(荒牧寛人)

[日本経済新聞朝刊2021年8月25日付]