2021/8/23

こうしたケースは少なくなさそうだ。3月に発表された野村総合研究所の調査では、自分やパートナーに治療経験がある459人のうち、33%が通院する医療機関での体外受精の費用が1回あたり30万円未満と回答。費用が高くなりやすい顕微授精も、333人中28%が30万円未満と答えた。

治療費が30万円を大きく超える層も単純に負担が減らない場合があり得る。不妊治療は医療機関ごとに最新技術や機器を取り入れ、組み合わせることも多い。保険適用外の治療法を利用する例は残るとみられる。

保険適用の診療と適用外の自由診療を併用する混合診療が原則認められないため、患者が一連の治療で一部でも適用外の治療を選ぶと全額自己負担だ。助成金がないと、その分負担増となることも考えられる。

6月には自民党の甘利明氏や野田聖子氏らが菅義偉首相に要望書を提出。制度変更で患者負担が現状から増えないよう求めた。生殖医療は主に自由診療の中で発展したといわれる。日本生殖医学会の大須賀穣理事長は「生殖医療の特殊性を意識して考えないと、良い制度は作れない」と話す。枠組みが固まる年明けまで議論を注視する必要がありそうだ。

(川本和佳英)

[日本経済新聞朝刊2021年8月23日付]