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ドイツBASFの女性管理職登用 対話重ねて長期育成

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日本同様、性別による役割分担意識が根強いドイツ。先進国では経済分野の女性活躍で後れをとっていた。だが2016年にクオータ制を導入するなどここ数年、管理職への登用で前進が目立つ。一例が化学大手のBASFだ。上司らとの対話を中心とする育成策で、着実に女性管理職比率を高めている。その取り組みは日本企業の参考になる。

3階層で面談 キャリア描きやすく

「この先、どんな仕事をしていきたい?」

「リーダーとして人を束ねることに挑戦したいです」

全世界に拠点を抱える独BASF。各地で定期的に女性社員と上司・先輩との間でこうした会話が交わされる。

「サクセッション・プランニング」と呼ばれる女性管理職育成の取り組みの一環だ。優秀な女性を早期に発掘し「○年以内にこの役職に引き上げるためには、こういった経験を積ませなければいけない」というシナリオを会社が作成する。その上で長期的な育成プランをたてるものだ。

BASFではこの取り組みを積極的に進めている。カギとなるのが対話だ。身近な先輩、直属の上司、エリア代表と3階層にわたる人材が女性社員と定期的に面談し、それぞれの立場に合わせたアドバイスをしたり、相談を受けたりする。「女性社員が今のポジションの『次のステップ』を描きやすくすることが狙い」と、アジア太平洋地域プレジデント、カローラ・リヒターさんは説明する。

さらに自分の得意・不得意分野などを棚卸しするためのツールとして、13ページに及ぶワークシートを社員らに配布。進みたいキャリアを自ら洗い出せるようにしている。

BASFは1865年創業の化学メーカーの老舗。自動車向けのプラスチック原料など幅広い化学品を開発する。全世界で11万人超(2020年末時点)の社員のうち、25.5%が女性だ。

日本同様、ドイツでも理系の世界は女性が少ないとされるが、女性管理職の比率は20年末で24.3%にのぼる。13年末時点では18.5%だったが、毎年比率を高め「21年までに22~24%」との目標を19年末に達成した。革新的なアイデアは異なる視点から生まれる、との考えから、30年までに全世界で30%を目指す。

 計画の達成を支えるのがサクセッション・プランニングと、女性が声を上げやすい環境づくりだ。とりわけ産後に職場復帰する女性の希望を丁寧に聞き、能力に適したポジションを与えている。

産後の職場復帰がカギ 「キャリアを明確に示せなければ、人材失う」

背景には、日本で女性の就業率が子育て期に下がる「M字カーブ」と似た事情がある。ドイツも男性を稼ぎ主とする性別役割分業が根強い。BASFでもかつては優秀な女性社員が第1子の出産後に、退職してしまうケースが多かったという。「希望をヒアリングし、復帰後のキャリアを明確に示せなければ、リーダーにふさわしい人材を失う」(リヒターさん)

そのため復帰時には、上司が細かく要望を聞く。今、何に興味を持っているか、フルタイムで働きたいのか、在宅勤務やパートタイムなど柔軟な働き方を望むのか――。そのうえで復帰後のキャリアプランを提示する。地道な取り組みが功を奏し、退職防止に効果が出始めている。

「他の人と違う主張も良しとされる」。今夏からドイツのBASF本社でEU化学物質戦略担当シニア・マネジャーとして働く宮田祐子さんはそう話す。もとは日本法人、BASFジャパン(東京・中央)の環境安全部の部長。この分野で本社に管理職として登用される女性は珍しい。だがどんな意見に対しても「プロとして聞き入れてくれる」会社の姿勢に自信を得て、踏み出すことを決めたという。

同社では今年から、女性の自信を高める研修も始めた。実績があっても「まだ仕事上で満点ではない」との理由でキャリアアップを断るケースが多いからだ。「8割の点がとれているなら、次に進んで」。リヒターさんは女性たちにそうエールを送る。

ロールモデルは首相 自ら変革推進
 ドイツの女性リーダーのロールモデルといえば、アンゲラ・メルケル首相だ。自ら女性のリーダーシップを高める活動に力を注ぐ。2015年には産官学のネットワーク「Chefsache」(シェフザッヘ)を立ち上げた。女性の管理職比率を上げるなど、社会的変革を起こすことが目的だ。

 女性活躍推進のために、制度作りは重要だ。だがそれ以上にインパクトをもたらすのは、メルケル首相のような社会を導く女性の存在なのだろう。
(川崎なつ美)
ドイツのクオータ制 穏健主義が日本の参考に
ドイツ労働史に詳しい筑波大の田中洋子教授によると、1990年代までは日本とドイツには多くの共通点があった。ともに第2次世界大戦で負け、戦後、自動車などの製造業が国際競争力を引き上げてきた。中心にいるのは男性正社員。「女性は専業主婦として家庭を支え、子育てが一段落するとパートで働くという社会構造も似ていた」

 2000年代に入ると状況が変わってくる。ドイツでは育児や介護なども労働と見なし「すべての労働を平等化しよう」という考えが広がった。仕事と私生活の両立のため、短時間勤務や管理職でもジョブシェアリングが可能となった。

 女性も働き続けられる環境が整ったといえる。とはいえ、欧州の中で女性登用では後れをとる。経済協力開発機構(OECD)によると、加盟国などの管理職の女性比率は平均33%。日本(15%)は半分以下だが、ドイツ(29%)も下回る。

 欧州の複数の国では、役員の30~40%は女性と義務付けるクオータ制を導入した。実現できなければ罰金や企業の解散、という厳格制裁主義をとる国もある。一方、ドイツはクオータ制でも最高意思決定機関である監査役会で空きが出れば女性を選任し、女性がいなければ空席のまま、という穏健主義を取ってきた。

 変化は遅いが、経済を激しく揺さぶらない方法で意思決定層に女性を増やそうとしている。日本では企業に女性のクオータ制を義務付ける法はない。田中教授は「ドイツの穏健主義は日本の参考になるのではないか」と指摘している。
(女性活躍エディター 天野由輝子)

[日本経済新聞朝刊2021年8月23日付]

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