2021/8/19

2枚入りで400円。来店客の動きを見ながら、多い日には500枚以上を揚げる。「調理前にいったん寝かせる格好になるので味にコクが出る。ワンフローズンなら荒天で水揚げがない日でも、形のそろった商品を提供できます」と上田知明支配人は話す。

売れ行きを見ながら次々とアジフライを揚げていく(道の駅松浦海のふるさと館)

生きのいい釣りアジにこだわるのが、港の船着き場に面した松川屋旅館だ。宿泊予約時に申し込みを受けて、市内の鮮魚店から仕入れる。「アジの大きさ次第で2尾に増やします」と女将の川崎和子さん。

熱々のフライは肉厚でジューシー。夕食のアジフライ御膳は、地魚の刺し身や地元料理の鯨のベーコンなども並ぶ豪華版だ。

来店客が増えてきたのが、魚市場の建物内にある食堂「大漁レストラン旬(とき)」。市場の再整備に合わせて18年に開業した。人気メニューは、松浦のブランド魚「旬あじ」をフライと刺し身のダブルで味わえる定食だ。「旬あじ」は4月から8月に取れた100グラム以上のマアジを指す。

松尾農園のアジフライ・サンドイッチ

種専門店の松尾農園がアンテナショップとして開いている「Matsuo Nouen+Coffee」は、アジフライのサンドイッチを提供している。ライ麦を使ったバンズを、アジフライに合うようにサクサクの状態で使用。「ランチタイムが終わった時間に松浦に立ち寄る観光客が、テークアウトしてくれます」と経営者の松尾秀平さん。オリジナルのオーロラソースは同店こだわりのコーヒーにもよく合う。アジフライの新しい味覚と出合える、地元カフェの逸品だ。

<マメ知識>駅や列車内にもアジ登場
 水産卸の西日本魚市(長崎県松浦市)がまとめた全国漁港のマアジ水揚げ数量ランキングによると、松浦(長崎県松浦市)は2020年の水揚げ数量が1万7431トンで1位。2位が長崎(長崎市)、3位が境港(鳥取県境港市)と続く。
 市内では松浦駅前や道の駅など5カ所に石造りの「アジフライモニュメント」が設置されている。松浦の沿岸部を通る松浦鉄道(長崎県佐世保市)はつり革を食品サンプル風のアジフライで飾った、アジフライ仕様の車両を走らせている。

(長崎支局長 若杉敏也)

[日本経済新聞夕刊2021年8月19日付]