会社への要求事項などを私がまとめていたこともあり、交渉の代表者に推されました。ベテラン工員から「ずっと社宅に住めるようにしてほしい」と泣きつかれると、放ってはおけません。クビを覚悟で再就職先のあても付け、交渉に臨みました。その結果、希望する社宅に移ってもいいとの譲歩を引き出せました。

■研究開発も徹底的に「稼ぐ」を意識した。

それ以降、「会社は貧乏になってはいけない。日銭を稼げる事業が必要だ」と考えるようになりました。93年に主査になり部下を持つと、「彼らを守らなくては」との意識が強まり、研究開発でも稼ぎを意識するようになりました。

当時、国内自動車産業が空洞化するといわれ、「このままでは会社がつぶれる」との危機感がありました。97~98年度は2300億~2400億円台の売上高に対し、純利益が7億円台まで落ち込みました。

貧乏はいやだとの思いが通じたのか、新たな稼ぎの種を育てる事業室での仕事が中心になっていきました。柱に据えたのは、まず1000度の高熱に耐えられる「セラミックばね」。次に光ファイバーのコネクターに使われる「セラミックフェルール」、最後が半導体製造装置向けの金属製の冷却板です。高付加価値のセラミックばねは世界唯一の製品で、冷却板は今も売れています。フェルールも日銭を稼げる時期がありました。

あのころ……

1980年代の日米貿易摩擦を経て、国内自動車大手は北米など海外での現地生産を進めるようになった。90年代のバブル崩壊の影響もあり、部品メーカーを含めた国内自動車産業の空洞化が指摘され、ニッパツも低収益にあえいだ。

かやもと・たかし 79年(昭54年)京大工卒、日本発条(ニッパツ)入社。10年執行役員、15年取締役。17年4月から現職。広島県出身。65歳

[日本経済新聞朝刊 2021年8月11日付]


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