現場と連携しタンクは満タン 東洋合成の腕利き営業東洋合成工業 鈴木智則さん

最先端の半導体製造に使う感光材で世界シェア首位の東洋合成工業は、液体化学品を大型タンクに保管するロジスティック事業も手掛ける。他社から委託を受けて化成品の荷役を担うのは、国内化学メーカーでは唯一だ。東京湾に面する高浜油槽所(千葉県市川市)で物流営業課長を務める鈴木智則さん(41)は、タンクの契約率をほぼ100%に維持し続けている。

高浜油槽所にはトルエンやスチレンといった化成品の保管タンクが60基以上並び、総容量は5万5000キロリットルを超す。タンカーで運ばれた品を貯蔵し、タンクローリーやコンテナで顧客工場へ出荷する。毎日100台以上のタンクローリーが出入りし、在庫は約2カ月で1回転するという。収入源はタンク保管料と搬出入時の荷役料金だ。

少年時代からものづくりを志していた鈴木さんは都内の理系大学を経て、大学院では導電性ポリマーを研究した。高校時代からラグビーを続けており、体力には自信があった。そこで就職活動では履歴書の特技欄に「早起き」と書き込み、東洋合成の内定を得た。人事担当者からは「朝早くから稼働している高浜油槽所が合っている」と太鼓判を押された。

油槽所では社員20人程度と協力会社を合わせて50人規模が働く。2004年に入社した鈴木さんは、まず物流業務課に配属された。新卒は数年に一度で「同年代の社員はいなかった」。最初の仕事は50種類ほどあったタンクの中身を覚えることだ。「化学物質名に慣れており、業務に入りやすかった」と振り返る。

業務課には約9年半在籍した。荷役のために船が着岸する「バース」に関する調整や顧客の問い合わせ対応などに飛び回る日々だ。自社と顧客の板挟みに遭うこともあった。「双方の主張は分かるので、そこからベストな答えを見つけ出すのが間にいる自分だ。その役割を理解してもらえるように話を進めた」

13年11月、物流営業課に異動し、ただ1人の営業課員となった。「担当表を作るよう指示され、60社ほどの全顧客をリストにして『担当・鈴木』とだけ書き込んだ」と笑う。「1人で大変ですねと言われるが、営業ですべてをこなすのではなく、業務課など現場の協力があってこそだ」

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