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助成金・育成…女性の起業環境首位 イスラエルに学ぶ

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NIKKEI STYLE

中東のイスラエルが「女性が起業しやすい国」として注目されている。背景には充実した官民の支援体制や戦争の歴史を通じて醸成された危機意識がある。女性の活躍推進が課題である日本にとっても同国の事例はヒントになる。

新型コロナウイルスの世界的な流行が始まった2020年。感染の有無を調べる検査を効率化させるソフトウエアの開発会社「レステスツ」がイスラエルに誕生した。あらかじめプログラムした計算処理で検査時間や費用を節約するもので、政府や医療機関が利用している。共同創業者のルース・ポラチェクさんは「我々の技術は社会に変革をもたらすだろう」と胸を張る。

同国出身のポラチェクさんは米ウォール街の金融機関で自身のキャリアを始めた。新興の技術系企業のM&A(合併・買収)や株式投資に携わる中で、起業を考え始めたという。「イスラエルはテロ攻撃など日常的な緊張感に包まれているからこそ団結して困難に立ち向かう素地がある」との思いから、同国に起業の拠点を置くことになった。

イスラエルは女性が起業しやすい環境として注目され、レステスツのような新興企業が続々登場している。起業のサポート態勢などを点数化した米マスターカードの「女性起業家指数(2020)」では19年から3つ順位を上げ、58カ国・地域中1位となった。評価軸のひとつは政府による支援の手厚さだ。

イスラエル政府は起業に関わる助成金の審査で女性を優遇している。調査・開発費は会社を立ち上げた初年度に最大175万シェケル(約5900万円)を助成し、2年目は最大350万シェケルに増額する。人脈の開拓や資金調達のノウハウを学ぶ研修などの女性起業家に特化した支援メニューもそろえる。

同国にはハイテク系中心に300超の多国籍企業が開発拠点等を置く。国内企業との協業も活発だ。だがイスラエル政府によると、10年前は技術系の新興企業に占める女性経営者の割合はごくわずかだった。「女性の理系人材の発掘が自国の成長源になる」(イノベーション庁のニリ・シェレブ氏)と支援をてこ入れし、19年時点で14%に。さらなる拡大をはかる。

先端技術に関わる女性の育成は民間でも活発だ。ポラチェクさんはソフトウエア開発者養成を目的とする国内最大級の市民団体「she codes;(シーコーズ)」の代表も務める。週1度、プログラミング講座を国内の大学や企業など50拠点で開く。団体には約5万人の女性が登録。企業の人材発掘や事業の創出にもつながっている。

 女性は共同で創業するケースが多い。人工知能(AI)が化粧方法を助言するアプリを提供する「ミラーリ」共同創業者のアウワド・クレイシュさんは、元経営コンサルタントだ。コンピューター科学者や美容の専門家とチームを組んで会社立ち上げに至った。現地紙エルサレム・ポストは「政府と民間主導の育成プログラムは投資家やパートナーを探す役割がある。その一例がミラーリ」と説明する。

起業を前向きに捉える文化も女性起業家指数を押し上げた。イスラエルは1948年の建国以来、周辺のアラブ諸国やパレスチナとの緊張関係が続く。国家存続のためには技術革新を起こし続けなければならないという危機意識が、失敗を許容する風土や大胆な発想につながっている。

多摩大学ルール形成戦略研究所の客員研究員、吉富愛望アビガイルさんはイスラエルにルーツを持つ。暗号資産や培養肉といった新分野での事業に携わってきた。

日本の大学院修了後、母親の母国イスラエルの軍隊にボランティアとして参加した。明日何が起きるかわからない状況に常に置かれ、大学、就職といったレールから脱線することに抵抗感を示さないイスラエル人らの姿が印象的だったという。「国や産業の発展に必要なことは何か考えるきっかけになった」。自らも「自由にやりたいことをやろう」と感じたという。

逆境で育つ起業マインド 政府支援プログラムの取締役に聞く

マスターカードの女性起業家指数で、日本は47位に沈む。女性の社会進出でも他の先進国に後れを取るなか、日本はイスラエルから何を学べるか。コンサルティング会社の最高経営責任者(CEO)や政府の起業家支援プログラム取締役などを務めるインバル・アリエリさんに聞いた。

――イスラエルが女性起業家にとって最適な環境と評価されました。

「特有の文化的背景が寄与したのではないか。イスラエルの起業家の根底には『chutzpah(フツパ)』と呼ばれる考え方がある。混沌とした状態を歓迎し、逆境を糧とする精神だ。国が常に不安定な状態にさらされる社会的背景が女性の起業マインドにも大きく影響している」

――アリエリさんは軍の精鋭諜報部隊にも所属していました。

「膨大な情報から安全保障に関わる情報を抽出する任務に従事していた。この任務にはチームワークや課題解決などビジネスに必要とされる要素が詰まっている。こうした軍での経験は起業に大きな役割を果たした」

――日本がイスラエルから学べることは。

「日本は経済や人口規模、社会・文化的背景までイスラエルとは大きく異なるが、国際競争が激しさを増すなか、自らの置かれた条件下で『どう生き残るか』を意識することが重要だ」

――日本で起業を目指す女性にメッセージを。

「子育てとの両立に悩み、男性優位のビジネス環境で壁にぶつかるかもしれない。そんなときに自分の支えとなる人を見つけることが大切。それが起業の第一歩となる」

兵役義務、最先端技術習得の機会に
 イスラエルでは男女ともに兵役義務がある。優秀な人材は諜報(ちょうほう)部隊に配属され、軍の施設でソフトウエアの開発やAIといった最先端技術を学ぶ機会がある。一橋大学の石倉洋子名誉教授(グローバル戦略)によると、兵役終了後は学んだ技術を安全保障に影響が出ない範囲で起業に生かすことが奨励されており「イノベーションを起こす環境が他国以上に整っている」という。
(井上航介、山下美菜子)

[日本経済新聞朝刊2021年8月9日付]

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