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89歳の樋口恵子さん&堂本暁子さん対談 女性は連携を

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NIKKEI STYLE

「人生100年時代」とされる高齢社会で、私たちはどうキャリアを重ねればいいのか。ともに89歳を迎えた評論家・樋口恵子さんと元千葉県知事・堂本暁子さん。40年来の友人である二人が、コロナ後を生きる女性たちへ、対談を通じてエールを送る。(文中敬称略)

堂本 お久しぶり。コロナですっかり会えなくなってしまって。

樋口 そうね。私は今、人生の岐路に立っておりまして。NPO法人「高齢社会をよくする女性の会」を立ち上げて38年になりますが、後継者に引き継ぐか、意義のある閉じ方をするか――。平均寿命(女性は87歳)までは若い気でいたけれど、最近は「自分の人生にどう決着をつけるか」を前提に考え始めているんです。堂本さんは?

堂本 私は東日本大震災をきっかけに設立した「男女共同参画と災害・復興ネットワーク」が10周年。被災地の避難所を訪ねると、どこも男性が仕切り役で、着替えや授乳など、女性への配慮が欠落していました。意思決定の場に女性が参画する意義を痛感したわ。今は活動成果を本にまとめようと準備中です。

――コロナ禍でも男女格差が顕在化しました。

堂本 世間では「女性活躍」が急に叫ばれているけれど、大災害や社会的事件が起こると、日本社会に脈々と残る潜在的な差別意識が地面から槍(やり)が飛び出すかのように顕在化する。戦後、女性の社会的地位は向上しましたが、今後も障害者や外国人などを含めた身近な差別の芽を見つける努力は欠かせません。

樋口 私も高齢女性の地位向上に貢献した個人・団体を励ます「樋口恵子賞(仮称)」の創設を卒寿記念に考えているのよ。私財の一部を運営費用にして死後に始められれば、と思っていたけど、仲間から「死んじゃってからではつまらない」と説得されて「やりながら死ねばいいか」と。

堂本 いいじゃない。90歳の「卒寿」を次の世代へのバトンタッチの場面にするって、すてきな発想よね。

――お二人の前向きさの基となる、キャリアについて聞かせてください。

樋口 私は新聞記者志望でした。東京大学教養学部新聞部では女性初の編集長、全日本学生新聞連盟でも副委員長を務めたので、ぜひジャーナリズムの一員になりたかった。ところが運悪く、その年は多くの新聞社や通信社が「女子募集せず」。門前払いでした。

堂本 「女性」というだけで社会への扉を閉ざされていたわね。私の場合はたまたまTBSが女性社員を探していて、大学の先生が推薦してくれたんです。そこから報道の世界に。

 樋口 堂本さんとのご縁は、ベビーホテル(認可外保育施設)を追ったドキュメンタリーね。夜に働かざるを得ないシングルマザーらの保育環境が顧みられていなかった時代。「夜の保育所」としてベビーホテルが乱立し、乳児の死亡事故が多発しました。堂本さんはその劣悪な実態を告発し、それでも我が子を預けるしかない女の苦しみを描いた。私が評論家として堂本さんの番組に出演し、おつきあいが始まったのね。

堂本 丸一年、取材を続け、最終的に児童福祉法改正につながりました。実は途中で、社内では打ち切りの話が出た。でも直属の上司が「今やめたらダメだ」と根気強く励ましてくれたの。続けたからこそ世論が動き、法改正に到達できた。今でも感謝しています。

――お二人は1932年生まれ。戦争体験もキャリアに影響していますか。

樋口 私たちは学童疎開を経験し、記憶している最後の世代ね。戦後はじめて日本国憲法を読んだとき、私は第27条に最も心がときめきました。「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ」という条文ね。「これだ!」と。就職活動に臨んで直面したのは、戦前と変わらない男性優位社会の現実でしたが。

堂本 二人の共通点は食べ物がない子ども時代を過ごしたことよね。樋口さんは就職活動で何度も女性差別という壁にぶつかり、そのたびに正面突破していくハングリー精神があった。我々の世代って男女の別なく、そういうハングリーさを持っている気がする。

樋口 そうね。

堂本 戦後の日本は女性の社会進出を促すため、法律は徐々に整備されました。ただ大企業や国会、行政機関を見渡すと、今でも意思決定の場への女性参画は非常に遅れている。行政組織のトップになって分かったことは、優秀な女性は早い時期から幹部候補生として育成する必要があるということ。現職知事の半分が女性になったら社会は大きく変わると思います。

――これからを生きる女性たちへ助言を。

樋口 私は「女性は社会のあらゆる場にいなければいけない」と思っています。例えば、80年に日本政府が女性差別撤廃条約への署名を見送る、という報道があったのよね。そのとき、国会の女性議員や女性ジャーナリスト、そして私も含めNPO法人や一般の女性らが一斉に声を上げて、結局、政府は批准の方向に方針転換しました。

堂本 多様な女性が連携する必要があるのよね。

樋口 そう。みんながいないとダメなのよ。

堂本 人と話をすることも大事だと思いますね。私は高校時代に素晴らしい先生方と語り合うことで深く影響を受けました。表情や何気ない言葉にこそ感動が生まれ、記憶に刻まれる。ちなみに小、中学校時代は戦争で勉強どころではなかったけど、それでも国会議員や県知事はできたわよ!とも言いたいわね。

樋口 評論家もね。評論家と言えば、同世代の俵萠子さん、吉武輝子さんも亡くなり「樋口さん、ライバルがいなくなっちゃいましたね」と言われています。

堂本 本当にそうね。

樋口 でも「堂本さんがいる!」と思うと元気づけられます。俵さんは77歳で亡くなられたけど、70代なんて今思えば少女。これからも二人の老いっぷりを見せていきたいですね。

(聞き手は飯塚遼)

[日本経済新聞朝刊2021年8月2日付]

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