自分の間違い、人の話で知る

「感染症が人々の生活を豊かではないものにしてしまうことに対し、我々は感染症にかかりにくい施設を作ることで、心の安定につながるような解決策を提供したいです。働き方の多様化でテレワークが普及した一方、20年のうつ病患者数が日本で前年比2倍に増えています」

「人と人が接触することで悩みを打ち明けエネルギーも得られると思います。今回のような感染症問題などが10年ごとに起きるなら、できるだけ早く少人数でも集える空間を作り、提供していくことが欠かせないと考えています」

――軸がぶれない点はリーダーの資質でしょうか。

「気をつけないといけないのが自分の信念が間違っている時です。軸がぶれないことは大事ですが、間違っていた場合は会社として最悪な状況になります。自戒を込めて振り返ると、働き方に対する考えは改める必要性がありました。かつては私自身も、24時間365日、家庭を顧みずに仕事をすることが当然という社風の中で働いていました」

「社長に就いて2~3年目のとき、ある方の講演を聴きました。人口減少時代では、少ない人材でも一人ひとりが最大限の能力を発揮できることを考えるべきだと説いていたのです。私は働き方を変えないと駄目だとその場で学び、自分自身の信念を変えました」

――自分の信念を変えるのは簡単でありません。

「私も素直に変えられる方ではないです。ただ、経営者として人の話をよく聞くことを心がけています。取締役会や幹部会を含め、大きな事業を決める時ほど人の話を聞くようにしています。自分を変えることは難しいです。しかし、人の話に謙虚に耳を傾けることで、ひょっとしたら自分は間違っているのではないかと気付くことができます。自己のリスク管理のためにも重要だと思っています」

長い時間軸で価値探る

――多額の投資への決断は尻込みしませんか。

「不動産市場は株式と同様に必ず変動するので、短期的な視点で一喜一憂してはいけません。安く買って天井で売れば良い話ですが、実際はそんな簡単にはうまくいかないのです」

「バブル崩壊がまさにそうですが、上がっている時は永遠に上がり続けると思ってしまいます。取得候補とする土地や建物、街について、買う瞬間がどうかというよりも5年や10年先を考えます。開発したオフィスビルは50年以上持つことが多いので、長い時間軸のなかでフェアバリュー(適正価値)であるかを見極めることが重要です」

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