2021/7/26

日本で正社員として働く女性はまだ少数派だ。19年度の雇用均等基本調査によると、正社員のうち男性の割合が74%なのに対し、女性は26%。総合職に限ると20%になる。

40~50歳代は特に就職時に女性総合職の採用が少なかった。三菱UFJリサーチ&コンサルティング主席研究員の矢島洋子さんは「企業は結婚や子育てを理由に女性が辞めると考えていた。長期的な育成を見据えた配置ができないから正社員採用も進まず、悪循環が続いた」と解説する。

同調査では新卒女性を採用した企業は62%あったが、業種により比率はばらつく。理工系女性の母数が少ないため、製造や建設などは新卒に占める女性割合が低い。

16年に全面施行された女性活躍推進法は企業に対し、女性活躍の数値目標を盛り込んだ行動計画を求める。計画で女性の採用比率を目標に掲げる企業が多い。矢島さんは「女性の採用は比較的取り組みやすい」としたうえで「育成や登用とセットで考えることが重要だ」と指摘する。

JAXAも女性が能力を発揮できる職場環境作りに取り組む。メンター制度を使い、女性が同性の先輩に仕事と私生活との両立を相談できる。茨城県つくば市と東京都調布市の事業所にはそれぞれ保育所を開設。複数の事業所で子育て中の職員らの情報交換を目的に月1回程度、交流会をオンラインで開く。

19年から働き始めた第一宇宙技術部門衛星利用運用センター研究開発員の小川万尋さんも交流会に参加する一人だ。「時短勤務の利用法や家庭内の家事育児分担などの体験談を聞け、将来の具体的なイメージを描ける」と話す。

もっとも管理職の女性比率は21年4月時点で10%。女性のロールモデルは少ない。それを補うのが兼業制度だ。ダイバーシティ推進の観点もあり、20年4月に解禁した。

「女性職員には外部でロールモデルとなる人と出会ったり、ネットワークを広げたりしてほしい」(松村さん)。届け出制で、利益相反にならない限り認めている。

20年度に兼業を行った人は全職員約1500人のうち222人で、女性は29人。研究開発員の小川さんも人工衛星データを活用するスタートアップでひと月約20時間働く。

矢島さんは「採用は人材戦略の出発点であり、ゴールでもある」と話す。新卒女性の採用増はただちに管理職や役員の女性増に結びつくわけではない。だが、従来型の同質的な集団から脱却するために、今すぐ取り組める課題だ。

■ダイバーシティ 幅広く
 本紙のコラム「ダイバーシティ進化論」でアーティストのスプツニ子!さんが米マサチューセッツ工科大の助教時代、採用にかかわったときのことを、「白人男性が多いという自覚と反省のもと、マイノリティー人種や女性を先に選考していた」と振り返っていた。意識的に多様性確保に取り組まないと、組織は自然と同質性の高い集団に戻るということだろう。

 日本でダイバーシティというと女性活躍推進がまっ先にテーマになるが、国籍や民族、LGBTQ(性的少数者)など幅広い属性にも着目するのが世界標準だ。三菱ケミカルは22年4月入社の新卒採用から、性別記入や写真提出を不要とし、女性やLGBTQが応募しやすいよう配慮した。面接官の男女バランスに注意するなど、間口を広げる工夫は他にもある。女性の採用、登用のサイクルを定着させ、世界に早く追いつきたい。
(女性活躍エディター 天野由輝子)

[日本経済新聞朝刊2021年7月26日付]