不採算だった出身部署立て直し 帳簿3年分で原因究明伊藤忠商事 石井敬太・社長COO(上)

伊藤忠商事の石井敬太社長COO
伊藤忠商事の石井敬太社長COO

入社以来、化学品メーカーから原料を買い付けて顧客に売る仕事をしてきました。初めて海外駐在した米国のヒューストンでは、旭化成の販売パートナーとして現地工場の顧客開拓を任されました。広大な国土を駆け回り、営業マンとしての足腰を鍛えました。

ところが、プラント完成直前に帰国の内示が出ました。「米国に骨を埋める思いでやってきた」「転職してでも残りたい」と主張したのですが、上司からは経営の中枢に関わる機会だと説得されました。2000年に帰国し、本社の生活資材・化学品カンパニーの経営企画部に移りました。

■不採算事業、ひたすら帳簿を調べ原因探る。

しかし、半年もしないうちにまた異動です。出身の基礎原料課の採算が厳しく、課長として立て直すことになりました。基礎原料課では国際市況を見ながら石油化学品を売買するトレードを手掛けていました。

まずは不採算の原因の究明です。在庫や売掛金などを精査するため、約3年分の帳簿を集めました。気が狂いそうな作業だったので、日の当たる広い部屋を借り切りました。そこで3カ月間こもり、2、3人でひたすら帳簿を調べました。

トレードは個人の勘や経験で勝負する傾向が強く、体力に見合わない過剰なリスクをとっていたことが分かりました。そこで、契約条件の見直しを進め、仕入れ先と売り先の売買を仲介して自社で在庫を持たない取引を強化しました。

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あのころ……
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