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日清紡ホールディングス(HD)傘下の電子部品メーカー、新日本無線(東京・中央)が手掛けるアナログ半導体の販売が伸びている。電子デバイス事業部海外営業部の池本敦さん(35)は主に車載オーディオ向け製品の販売に携わってきた。国内だけでなくアジア太平洋地域の営業経験で培った粘り強さを武器に、現在は欧州での市場開拓をけん引している。

新日本無線は車載用の半導体に強みを持ち、駆動系や通信、照明、音響関連に使われている。池本さんが力を入れてきたのが「カーオーディオの心臓部」ともいえる、音声信号を増幅する半導体だ。同社では家庭用や業務用の高級オーディオに使われるオペアンプ(演算増幅器)もそろえ、市場を開拓している。

池本さんは2009年の入社後、東京本社の直販営業課に配属された。ある日、当時の営業部長が新入社員を呼んで面談機会を設けた。池本さんが緊張のあまり「どうすれば部長のようになれますか」と質問すると、部長は茶化すようなこともなく「諦めないことが一番大事だ」と答えた。池本さんは「すごく支えになった。ずっと心に残っている」と振り返る。

当時、関東エリアの自動車メーカーを担当していた。ルート営業としてとにかく訪問し、月に100人と商談をこなすこともあった。各社の担当者は音響のプロでそれぞれカーオーディオの音質にこだわりを持っていた。「この小さな部品を変えるだけで音が全く変わる。カーオーディオに特徴やキャラクターをいかに引き出せるかが勝負だ」

取引先の要望を聞きながら、試作品をいくつも提供し、新日本無線の試聴ルームで長時間の聴き比べも繰り返した。品質保証や設計、技術部門の担当者とチームを組み、製品の魅力を詳細に紹介する営業スタイルを確立した。「チームのありがたみを感じ、取引先にファンになってもらうプロセスも体験できた」

営業としての転機は14年に訪れた。新人時代の営業部長が「必ず役に立つから」と後押ししたこともあり、シンガポール赴任が決まった。東南アジアやインド、オーストラリアなどを担当するが、マネジャー含めて3人程度という小所帯だった。

営業エリアが複数国にわたり、足で稼ぐスタイルは通用しない。現地は少人数でチームプレーもままならない。自分のセールススキルを問われる日々で当初は英語にも自信がなく、池本さんは「常に体を縛られながら商談していたイメージ」と苦笑する。

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