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幅広いステークホルダーに貢献するという高いハードルが企業に課せられている イラスト・よしおか じゅんいち

今年6月の株主総会ではESG(環境・社会・企業統治)関連の株主提案、アクティビスト(物言う株主)への対応、議決権行使基準の厳格化などに注目が集まった。3年ぶりのコーポレートガバナンス・コード改訂、東証市場再編により、コーポレートガバナンスへの関心が高まっている。

この問題への理解を深めたい読者には、入門書として花崎正晴著『コーポレート・ガバナンス』(岩波新書、2014年)、松田千恵子著『これならわかる コーポレートガバナンスの教科書』(日経BP、15年)を薦めたい。前者はコーポレートガバナンスの理論的な系譜や研究成果をコンパクトにまとめ、日米企業のガバナンスの違いについても説明している。「日本型ガバナンス」については、メインバンクや大口株主ではなく、製造業部門の市場競争が規律付けのメカニズムとして機能したと述べている。

ただ、14年の会社法改正、15年のコーポレートガバナンス・コードなど近年のガバナンス改革については触れていない。それらの改革の内容や背景、課題などを簡潔に説明したのが後者である。「教科書」と銘打っているようにわかりやすく、ポイントを押さえている。多くの企業で課題となっているグループ経営についても解説している。

監督機能を重視

改訂されたコーポレートガバナンス・コードは、モニタリング・モデルへの移行の方向性を打ち出した。モニタリング・モデルとは、執行と監督を分離し、監督機能に重きを置く取締役会の仕組みである。これまで日本企業では取締役会が重要な業務執行を担うマネジメント・モデルが主流だったが、最近、モニタリング・モデルを志向する会社が監査役会設置会社の間でも徐々に増えている。山田英司著『ボード・サクセッション』(中央経済社、21年)は、取締役会の監督機能の持続性の確保、取締役会の継続性が重要だと指摘する。日米英上位100社のガバナンス体制の詳細な分析に基づく論考は、今後の改革の方向性を考える上で示唆に富む。

東芝など多くの日本企業がアクティビストへの対応を迫られている。菊地正俊著『アクティビストの衝撃』(同、20年)は、国内外のアクティビストの活動や機関投資家の対応について解説する。具体的な事例も豊富で、実務家の著者による実践的なアドバイスも参考になる。

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