私は上司の期待に応えようと必死でしたが、「何で売れないんだ」とか「コストを下げろ」とか、若手でも言えるようなことしか部下に指示できません。多額の投資をしても収支は悪くなるばかりでした。

年商に匹敵する借金を背負い経営が行き詰まりかけた時期もありました。そんなとき、日本の銀行が融資を保証すると申し出てくれました。後から知ったのですが、本社の最高財務責任者(CFO)が銀行に掛け合ってくれたのです。

おかげで苦境を乗り越え、実践を通じて経営を学んでいきました。借金も数年で完済して、殺伐としていた社内の雰囲気も好転していきました。

■信じて任せる。

YKKで共有する価値観の一つに「失敗しても成功せよ/信じて任せる」という言葉があります。日本の経営陣はその精神を、深圳社の運営に失敗していた私に対して実行してくれたのだと今になって思います。

経営の本質を学んだのもこの時期です。業績が改善して明るくなった従業員の顔を見て、売り上げや利益は最終目的ではなく、従業員に還元するための過程だと考えるようになりました。深圳での6年間の経験は、全社の経営を担う立場になった今でも、日々の意思決定に生きています。

あのころ……

かつて中国は香港を介して貿易をしていたが、2000年代に入りWTOに加盟すると直接取引するようになった。YKKの中国事業も急速に拡大。深圳社は05年に現地法人64社中7位の規模で、今でも上海やベトナムに並ぶ最大級の拠点となっている。

[日本経済新聞朝刊 2021年7月7日付]


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