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阪急阪神百貨店の草竹雄一さん

阪急阪神百貨店の草竹雄一さん

新型コロナウイルスの感染拡大で百貨店の営業活動が繰り返し制限されている。対面を基本とした販売の見直しを迫られるなか、阪急阪神百貨店は2020年5月に始めたオンライン接客サービスで徐々に成果を上げ始めた。高級腕時計や海外ブランド品を担当するラグジュアリー販売統括部の草竹雄一さん(52)は、独自のノウハウで富裕層らの購入意欲を刺激している。

阪急うめだ本店(大阪市)の6階には、高級時計や有名ブランドの売り場が西日本トップ級の規模でひしめいている。その一角に広さ25平方メートルほどの小部屋がある。室内には毛の長いじゅうたんが敷かれ、高級ソファや木製テーブルが置いてある。コロナ禍以前は得意客に用意していたが、今はテレビ電話で在宅の顧客に逸品を紹介する「スタジオ」だ。

オンライン接客では顧客が専用サイトで気になる商品を見つけ、テレビ電話やLINEで問い合わせるケースが多い。以前なら一緒に本店内を巡り、旅行やパーティー向けのコーディネート、記念日のギフトなど商品を次々に手に取って紹介できた。草竹さんは「対面では1人で億円単位の買い物をしていただけることもあったが、オンラインは月間100万円ぐらいの時もあった」と当初苦戦した。

商品の魅力をきちんと伝え、購入につなげるにはどうしたらいいか。たどり着いたのは「阪急阪神らしさ」を強調することだ。大手通販サイトにはない、多くのブランド企業や縫製工場と取引してきた有力百貨店ならではのオンライン接客を見つめ直した。

一例が顧客に実際の商品を送って、オンラインでじっくりと説明する手法だ。「アパレルなら布の心地よい手触り、軽さや重厚感など手に取って分かることは多い。画質も限られるオンラインだけでは簡単に購入いただけない」

対面では得意客の来店に合わせて店内を一緒に回ったが、オンラインなら「事前にリクエストのあった商品や好みに沿った新作を用意し、より短い時間で様々な提案ができる」と発想も切り替えた。装飾された売り場を巡る満足感はなくても、コロナ禍で外出もままならない得意客から「お店にいるような買い物体験がうれしかった」「空いた時間に利用できて便利だ」といった声が徐々に増えた。

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