京都大学では日本に入国できない留学生も参加する講義で、VRやドローン動画の教材を活用している(「京大 桂川流域 河川整備体験VR」から)

工学研究科の立川康人教授が20年秋から、従来の講義資料に加え、京都府を流れる淀川水系の桂川流域や河川整備のVR動画をもとに解説する講義を試みた。

東南アジア諸国連合(ASEAN)の学生と毎夏行う現地調査旅行(フィールドトリップ)など、その他の現地調査の講義についても、VR動画などの教材を充実させ、一般にも無料開放するポータルサイト「Kyoto-ASEAN Virtual Field」を整備した。

千葉大学は全10学部の学生と大学院生の海外留学を、国公立大学としては初めて20年度から義務付けたが、遠隔による留学プログラムも新たに設けた。

英語教育のカリキュラム自体も、グローバル人材の育成を目的に同年度から抜本改革し、英語力の向上を留学だけに頼らない体制を敷いている。

英語のネーティブ教員を増やし、1年次からプレゼンテーションやディスカッション、ライティングなど、英語でコミュニケーションする学習教材を共通化し、必須とした。

2年次には専門分野にあわせた学術英語や、批判的思考を養う英語の授業を進める。

一連の改革を推進した小沢弘明・教育改革担当副学長兼国際教養学部長は「これからの学生は、どんな職に就くにも英語は必須」と語る。値上げした約11万円の学費の一部を英語力の強化策にあてている。

一方的な授業、学生は不満足 DX活用など重要に

授業のあり方について新型コロナ禍でも止めてはいけない課題が2つある。デジタルトランスフォーメーション(DX)の活用とグローバル人材を育成するための工夫だ。

文部科学省が3月に大学生らを対象にしたアンケート調査によると、オンライン授業の満足度では、自分の選んだ場所やペースで授業を受けられるなどとして「満足」が56.9%と過半に達した。

ただ、遠隔授業で講義資料をパソコンに映して一方的に話したり、授業の録画を流したりするだけでは、学生は満足しないとの声も少なくない。

講義自体をアップデートしなければ、遠隔授業自体が学習意欲をそぐリスクになる。再開されつつある対面授業でも、遠隔で施した工夫を生かしてほしい。

グローバル人材の育成に向けた英語学習は「海外留学させれば何とかなる」との一本足打法だけでは限界があることも新型コロナの教訓の一つと捉えたい。

(編集委員 木村恭子)

[日本経済新聞朝刊2021年7月7日付]

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