
女性の健康の悩みを技術で解決するフェムテックへの関心が高まっている。同時に、生理の話題もメディアで目にすることが増えた。生物学的男性が生理を疑似体験する映像作品「生理マシーン、タカシの場合。」を私が制作したのは2010年。生理をタブー視する傾向が強かった当時と比べ、社会の前向きな変化を感じる。
だが、女性の体への理解はまだまだ途上だ。例えば、日本では麻酔によって陣痛を和らげる無痛分娩が浸透していない。麻酔医の不足などに加え「出産が痛いのは当たり前」との固定観念が足かせになっている。
「忍耐は美徳」という考え方が根底にあるのだろう。「痛みを伴わない出産では子に愛情がわかない」という言説すら聞く。それに違和感を覚える女性もいる。なのに課題解決が進まないのは、医療や政治の現場の意思決定層に女性が少なく、当事者のつらさが実感されづらいからではないか。
気になって世界経済フォーラムの男女平等の度合いを示すジェンダー・ギャップ指数と、各国の無痛分娩の普及率を比較してみた。すると、21年のジェンダー・ギャップランキングで156カ国中2位のフィンランドは普及率が9割だった。16位のフランスは8割、23位の英国は6割だ。一方、120位の日本は6%にとどまる。