上に強く、下に優しく

――幹部人材はどう育てていますか。

「当社の人材育成のイメージとして『人づくりの樹』というイラストがあります。根に『多様な個性を認め合う』、その上に『信頼して任せる』とあります。人づくりの基本は人に任せ、起きた事象、特にマイナスのところに責任を取ることです。上に強く、下には優しく。幹部が育つために大事なことでしょう」

――リーダーの最大の役割は決断です。幹部や部下にどう成長してほしいですか。

「係長から課長、部長と役職ごとに給料が上がるのは決断という職責が高まるためです。課長になっても上長に『ファクトはこうですけど、どうしますか』みたいな仕事をしていたら、それは給料泥棒。『私はこうあるべきです』と言うことが、結果的にそうはならなくても最終的には仕事ができることだと思います」

――論客として金融界で一目置かれています。無類の読書好きとか?

「ゴルフもやらないし、大した趣味もありません。でも、本は学生時代からずっと大好きです。いまは社長業で忙しいので読書三昧とはいきませんが、ヒマをみつけては書店巡りを欠かしません」

「マンションの狭い自室の本棚や机の上は数千冊の本が積まれています。『整理して』と妻には怒られています。地震とかが起きて、本が崩れ落ちてきて窒息死する。私の本望です」

――若手の読書離れを憂えていませんか。

「そんな上から目線のことは言いません。もちろんネット時代にも読書は大切とは思いますけど。ただ、本を読んでこなかった人ほど『教養』という言葉に弱いんじゃないかな。『教養を身につけたい、それは本を読むことだ』と考えている。でも、読書は教養が目的ではない。もっと楽しいものなんです」

(四方雅之)

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同郷の集まり大切に

東京都と隣接するが「四方を山に囲まれ、冬寒くて夏は暑い」。そんな故郷の山梨県をこよなく愛する。山梨県出身の経済人の集まり「山申(さんしん)会」にも入る。「都会に出てからも、山梨県出身者は妙に結束力が強いんです」

母校の県立甲府第一高校は石橋湛山元首相や小林中・日本開発銀行初代総裁(元富国生命保険社長)ら政財界の大物も輩出している。ちなみに、山申は山猿という意味があるという。「我々は誇り高き山猿です」

よねやま・よしてる
1950年山梨県生まれ。74年早稲田大学政治経済学部を卒業、富国生命保険入社。運用や企画部門を歩み、2002年取締役、10年から社長。生保経営の信条は「ぶれないこと」。

[日本経済新聞夕刊 2021年7月1日付]

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