「師」との出会い、育成術磨く

――社外の人脈も多彩で、とりわけ、経営学の泰斗で一橋大学名誉教授の野中郁次郎氏を『師』として慕っているとか。

「若い頃から野中先生の著作は手に取っていましたが、実際にお会いできたのは1990年代の経済同友会の会合。そこから先生の勉強会に参加させていただいています。私が『人づくりは場づくりから』と強調しているのは先生の影響です」

「先生は企業の組織運営はマニュアルなど形式言語に頼る『形式知』と、人間一人一人の体験や知識の自然な結集である『暗黙知』に分類しています。そして暗黙知は合宿や飲み会など『場』を通じて共有できるという。すとんとふに落ちました」

野中郁次郎・一橋大学名誉教授(右)と米山社長

――直接人と会う対面営業の重要性を主張しています。

「新型コロナウイルス下で、当社もオンラインの面談システムなど必要なインフラは一気に整えました。それでも、感染を防ぐ万全の対策を前提に対面営業にこだわります。人間のコミュニケーションの一番基本的なところで対面が必要だと確信しているからです」

「ウェブ会議が普及する前からテレビ会議などはありました。社内の情報交換くらいなら問題ありませんが、重大な議題ではいまいち通じ合えないもどかしさを皆さん感じていたはずです。生命保険は金銭問題にとどまらず、命や精神に関わる高い買い物です。込み入った対話が不可欠であり、他の金融商品とは全く違います」

「ワクチン接種で先行する米国ではシリコンバレーのIT企業やウォール街の金融機関が従業員をリアルな職場に戻そうとしています。人のリアルな交流を通じてこそ、新たな付加価値が生まれると考えているからでしょう。私が重視している『車座』もその流れにあります」

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