収益改善の家賃交渉、熱意伝え続ける
最初は取り付くしまもない。だがどうしてもここで教室を続けたい、熱意を家主に伝え続けた。最後は「またつぶれても困るしな」と、理解してもらえたという。そんな日々を経て「何事も経験やな、言うのはタダだしなと、肝がすわっていった」。
だからこそ、40歳で社長就任を打診された際は、驚きはしたが迷いはなかった。北海道から沖縄まで直営店は300校。決めることは山ほどあるが、安易にOKは出さず、分からないことは理解できるまで勉強してから決断している。「社員の質問に私が答えを出す『Q&A』ではなく、質問を返す『Q&Q』になって、周りを困らせたかも」
昨年4~5月の緊急事態宣言時には全校舎を一時休校した。「経営破綻で生徒さんが離れていったことを思い出し、怖くなった」。その経験があったからこそ、新型コロナウイルスへの対応は早い。全店でオンライン授業を配信できる仕組みを2週間ほどで整え、英語学習アプリも開発した。「応戦一方でなく、新たなサービスを発信したい」。そう意気込む。
(聞き手は砂山絵理子)
[日本経済新聞朝刊2021年6月28日付]