「女性が生き生き働く姿に引かれて」。新卒で経営破綻前のNOVAに入社した。すぐに店舗運営を任され、夢中で仕事をしたという。「経営が傾いているとは考えもしなかった」
会社が倒産したのはエリアマネジャーをしていた入社9年目だ。「ニュース見た?」。先輩からの電話で破綻を知り、すぐに校舎に向かった。閉校の張り紙をするためだ。「ああ終わった、と心が無になった」
幸いにも英会話教室事業はスポンサー企業に引き継がれ、新会社で平社員として再スタートを切った。仕事の中心は経営破綻で離れていった客一人ひとりに電話することだ。「また、通ってもらえませんか」。断る客もいたが、多くの客が戻ってきてくれた。経営破綻で信用を失う経験を一度したからこそ「もう二度と信用をなくすことはしない」という使命感が芽生えたという。
その後、エリアマネジャーを経て関西エリアの事業部長に。仕事の一つが、収益改善のために校舎の家賃交渉に出向くことだった。「以前の破綻で嫌な思いをしても、また信じて物件を貸してくれている家主さんに『家賃をまけて』とお願いをするのは怖かった」