約17万人が利用するというお薬手帳アプリのホッペ(東京・港)も薬剤師とのビデオ通話で服薬指導が受けられる機能を追加した。薬剤師でもある新関一成社長は「ビデオ通話であれば利用される方の顔も確認できる。安心して使ってもらえる」と期待する。

利用者には「使い方がわからない」「薬はすぐ手元にほしい」といった思いもある。日本薬剤師会の長津雅則常務理事は「薬剤師は患者の表情をじっくり観察している。安全のためにも服薬指導は対面が原則」と主張する。ただ医療健康分野に詳しい野村総合研究所の高藤直子上級コンサルタントは「どこからでも薬剤師にアクセスでき、服薬方法の確認や健康相談ができる。薬の配送を含め医療分野に新たな動きを呼び込むきっかけにもなりうる」と指摘する。

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診療と連携、普及のカギ

動き始めたオンライン服薬指導だが、普及に向けては課題も多い。なかでも大事になってくるのが医師によるオンライン診療との密接な連携だ。

厚生労働省によると、電話を含めた遠隔診療の登録医療機関は全体の15%程度。初診から対応可能なのは6%程度にとどまる。医師にとっては画面越しの会話が中心で検査や触診ができず、患者の状態を把握しにくい。導入コストの大きさや診療報酬の低さが妨げになっているとの指摘もある。

そうはいっても医師、薬剤師がともにオンライン対応していなければ利便性を実感しにくい。野村総研の高藤さんは「オンライン服薬指導の利用拡大にはオンライン診療の普及が欠かせない」と強調する。

(高橋里奈)

[日本経済新聞夕刊2021年6月23日付]

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