NTTぷらら(東京・豊島)向けには、卓球の試合のダイジェスト映像を自動生成できるシステムを作った。大量の試合映像を学習した「盛り上がり抽出エンジン」の手にかかれば、1時間の試合映像から、人の手を介さずに5分程度の映像ができあがる。

どこが試合の見どころなのか、AIが手掛かりにしたのは、ピンポン球の打音、会場の歓声、得点表示が切り替わる瞬間だ。選手の顔識別など他の要素も盛り込むことも検討したが、コストが増える。「今の技術でどこまでできて、顧客はどのレベルを求めているのか」。エンジニアと顧客、両方の目線でバランスを取る役割が求められた。

今井さんはエンジニアとしてソニーに入社し、生産技術の研究開発に携わってきた。技術者としてAIが発展し、様々なサービスや製品に実用化される様子をみるうち、心が強く躍るのを感じた。「AIの社会実装に携わりたい」と会社に希望を出し、19年に営業部署に異動した。

顧客開拓のために展示会などに赴き、来場者らの相談があれば、その場でどんなことができるか伝える。受注後も「開発サイドと顧客との理解の差を埋める作業が大事」と対話を心がける。技術がわかる営業として納期や予算を踏まえて「ここまでならできる」「あの機能は省ける」などと調整していく。

営業経験を重ねてみて、「素朴な疑問や聞き取りが重要だ」とも感じる。何気ない会話で顧客が別の課題に気づいたり、問題の所在がはっきりしたりすることは多い。最初に描いた解決策だけが正しいとは限らない。

AIの活用は効率化を目的として「人が仕事を奪われる」といった暗いイメージもつきまとうが、可能性を秘めた技術でもある。「例えばAIの映像編集を追求すれば、人にはできなかった表現を生み出せる。社会に広く使われるサービスを出し、明るいAI社会をつくりたい」。その思いが、今井さんを駆り立てるエンジンだ。

(伴正春)

いまい・やすのり
12年東工大院修了、ソニー(現ソニーグループ)入社。生産技術のR&D部門でセンシング技術開発に従事。19年からソニービジネスソリューション(現ソニーマーケティング)のB2Bビジネス部。

[日経産業新聞 2021年6月22日付]


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