最近読んだ『企業変革力』は、大規模に会社を変える方法を、「8段階の変革プロセス」にまとめています。「危機意識を生む」に始まり、新しい方法を企業文化に定着させるまでの8段階です。今当社は4番目の「ビジョンを周知徹底する」段階です。
読書の効用を柔軟にとらえている。
今書店で売れている『スマホ脳』には勇気づけられました。スウェーデンの精神科医の著作で、人間が精神的安定を保つには、睡眠、運動、他者との関わりの3つが必要だが、スマートフォンはこれらを妨げるというのです。
寝る前に普通の本と電子書籍をそれぞれ読ませて比べると、電子書籍を読んだ人たちは眠りに落ちるまで10分長くかかったそうです。
電子書籍は情報が絶え間なく入るスマホを連想させ、寝つきを悪くするようです。紙には紙の良さがあります。新事業の開拓に力を入れていますが、紙は減っても絶対に無くなりません。
漫画も好きで、昨年の夏休みにはコロナ禍で外出を控えて『スラムダンク』を読みました。読むたびに元気が出ます。赤い髪の不良が高校のバスケットボール部に入って全国大会まで勝ち上がる話です。指導者の安西先生の「あきらめたらそこで試合終了だよ」などの泣かせるセリフも魅力です。
仕事から離れて頭を切り替えるのも大切で、冒険小説や推理小説もよく読みます。こんな読書のたとえ話があります。樽(たる)に水を満たして、水を注ぎ底から同じ量だけ流れ出るようにすると、樽の水は見た目変わりませんが、水ゴケが徐々に生えてくる。読書も水ゴケと同じように何かが自然に身に付く。それが思わぬ時に、役に立つことがある。読書して無駄はありません。
(聞き手は森一夫)
[日本経済新聞朝刊2021年6月19日付]