妻に育児負担集中、少子化の一因に 夫婦の格差解消をダイバーシティ進化論(山口慎太郎)

2021/6/21
子育て負担は女性に集中しがち(写真はイメージ=PIXTA)

新型コロナウイルス感染症が広まる中、世界中で出生率が大きく低下した。日本も例外ではなく、今年の1~3月の出生数は19万人余りと、コロナ禍前の妊娠を反映した前年同期に比べると10%近く少ない。

かつて産み控えが起こった1966年の丙午(ひのえうま)では、その後出生数は反騰した。今回もコロナ禍で妊娠時期を一時的に遅らせているだけで、また回復するという見方には一理ある。しかし、日本の出生率低下は第2次ベビーブームの終焉(しゅうえん)以来50年近く続く傾向だ。

なぜ日本の少子化は止まらないのか。一つの理由は、子育て支援政策が不十分だからだ。日本は国内総生産(GDP)の1.8%を子育て支援にあてているが、これは経済協力開発機構(OECD)平均の2.3%を大きく下回り、首位フランスの半分にすぎない。

もう一つの理由は、子育て負担が女性に集中しすぎているからだ。OECD平均では女性は男性の1.9倍の家事・育児などの無償労働をしているが、日本ではこの格差が5.5倍にも上り、先進国最大だ。

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