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個人情報・データは保護と利用推進の両立が課題となっている イラスト・よしおか じゅんいち

個人情報・データは保護と利用推進の両立が課題となっている イラスト・よしおか じゅんいち

新型コロナウイルス感染症が世界中に広まってから1年以上がたつが、感染の勢いはいっこうに衰えを見せない。その中で、現時点で比較的封じ込めに成功しているのが、中国、韓国などである。

封じ込めがうまく進んだ一因は、個人情報・データの利活用にある。これらの国々の多くで、政府がスマートフォンの機能やアプリを通じて、感染者の移動履歴やサービス購買履歴を収集し、感染経路を特定するとともに、人々の行動や密集状況を把握して、ロックダウンや行動制限などを迅速に行っている。

先行するのは中国だ。キャッシュレスエコノミーの普及と合わせて、リアル空間とインターネット上の両方で、人々の購買や言動などの情報を政府が監視・収集する仕組みを整備してきた。

信用スコア算出

西村友作著『キャッシュレス国家』(文春新書・2019年)は、高度な個人データ利用国家となった中国の現状を、現地の目でとらえている。同国では、キャッシュレスの急速な普及が多くのイノベーションを生み出しているとともに、個人の購買履歴や行動履歴をもとに、個人の信用力を数値化した「信用スコア」が算出され、統治にも利用されている。

しかし、日本を含めた民主主義国の多くでは、スマホから収集されるデータを通じた個人の行動履歴や、感染者との接触の特定に慎重である。厚生労働省の感染対策アプリ「COCOA」も、全地球測位システム(GPS)の位置情報を直接収集する仕組みにはなっていない。

その理由の一つに、世界の個人情報・データ保護をリードする欧州連合(EU)が、感染症対策のために、情報やデータの保護をゆるめることに警戒的だという事情がある。公式アプリを配信する米グーグルやアップルも、それに同調している。なぜEUの保護政策が、他国にも影響を与えるのか。小向太郎・石井夏生利著『概説GDPR』(NTT出版・19年)は、世界中の政府や企業が対応を迫られた、EUの一般データ保護規則(GDPR)を解説し、欧州と同等の個人情報保護体制と認める「十分性認定」や、域外企業も対象とした巨額の罰金といったインパクトを伝えている。

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