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クラレの植木順一さん

クラレの植木順一さん

スマートフォンやパソコンの部品、発光ダイオード(LED)の反射材などに使うクラレの高機能プラスチック「ジェネスタ」が、数量ベースで年10%前後の伸びを続けており、今後の成長も期待されている。植木順一さん(43)はこの樹脂の販売に10年以上携わり、素材が世界市場で様々な製品になって新たな価値を生み出す面白さを追求し続けている。

植木さんは2002年、クラレに入社し、子会社のクラレメディカルに配属された。当初、販売を担当したのは人工腎臓を中心とする医療器具だった。素材メーカーからみると川下に近い製品で、用途も限定された「他社と似たようなもの」を売り込む日々が続いた。

キャリアの転機は同部門の旭化成への売却だった。植木さんは09年にクラレ本社のジェネスタ事業部に移り、この素材の将来性に心が躍った。「川上のプラスチックは多様な用途に展開できる。他社にもない独自製品だ」

ジェネスタは耐熱性や安定性に優れるポリアミド樹脂で1998年に事業が立ち上がったものの、知名度は低かった。まず取りかかったのが用途開拓だ。異動当初はLEDの普及期で照明や電子機器のLED反射材として販売に力を注いだ。

素材が持つ可能性を、最終製品への価値として実現できる――。充実した毎日を送る中、ヤマ場が訪れた。スマートフォン用部品の量産プロジェクトだ。コネクターや差し込み口などに向くが、クラレの作業は難航した。一方、納入先のメーカーは想定を上回る速さで量産体制を整えていく。「自分たちの材料がないと製品が作れない。見通しの甘さに苦労した」

ただ、植木さんは大きなプロジェクトで何事もないはずはないと腹を決めた。「すべてが未来につながると思い、自分自身とチームを信じていた。ビジョンと戦略さえ間違っていなければうまくいくと信念を持っていた」

営業担当として当時から心がけるのは「洞察・推理・分析」のプロセスだ。自社や顧客、市場の今を洞察し、未来について推理する。その上で将来のニーズや隠れたニーズを分析していく。

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