――社会課題の解決に向けて、食とテクノロジーをつないだ「フードテック」を活用する動きも広がっています。

センサーに手のひらを当てるだけで野菜摂取の充足度を測定できるという「ベジチェック」

「少し前まで所属していた研究部門の時に考えたのが、自前の研究に加えてオープンイノベーションの活用です。自社の研究と外部の知見を組み合わせて新しいモノを生み出すことを全社的に進めようとしています。その1つがドイツの光学機器メーカーと共同で開発した野菜摂取量の充足度を測る『ベジチェック』です。野菜や果物に含まれる色素をドイツの光学機器メーカーの技術で測り、それを野菜摂取量に換算するアルゴリズムはカゴメがつくっています。人が手のひらを装置に当てると測定することができます。『ベジチェック』は健康経営をしている企業や自治体に貸し出しています」

「プラントベース(大豆)製品もオープンイノベーションの1つです。4月に健康関連スタートアップのTWO(東京・渋谷)と業務提携し、現在商品について両社で検討しています。このほかにも『野菜をとろうキャンペーン』に賛同してもらった19の企業・団体と『野菜摂取推進プロジェクト』を立ち上げました。賛同企業と連携した料理教室など取り組みを進めています。異業種と一緒に活動することで様々な形で野菜の情報発信ができます」

――農業の新会社としてカゴメアグリフレッシュ(KAF)を立ち上げました。

「1998年から生鮮トマトを生産し、全国のスーパーで販売しています。売上高規模では100億円ぐらい。トマトは温室で通年栽培しています。ここ数年は競争激化で赤字が続いていましたが、昨年やっと黒字化しました。野菜の会社を目指すカゴメにとって生鮮野菜は重要なので、この分野をもっと大きくしていきます。安定して収益を高めていくために国内の農事業を切り出して新会社のKAFに引き継ぎました。意思決定を迅速にしたり、他社とのアライアンスを組んだりするなどスピード感をもって次のステージに引き上げる狙いです」

「いままでは温室で栽培する生鮮トマトが中心でしたが商品数も広げています。数年前からベビーリーフを栽培しているほか、タマネギの栽培も始める予定です。北海道の農業法人との合弁会社を通じて今秋からタマネギの栽培・販売を始めます」

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