変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック

おおつか・よしはる 東大法卒。旧厚生省に入り、厚生労働省保険局長、事務次官などを務めた後、日本赤十字社副社長に。2019年より現職。

おおつか・よしはる 東大法卒。旧厚生省に入り、厚生労働省保険局長、事務次官などを務めた後、日本赤十字社副社長に。2019年より現職。

ノウハウ本の類いは読まないと決めている。

中国の文学者、林語堂はこう言っています。「真の読書法とは何か。答えは簡単である。気分が向けば、書を手にとってこれを読む。ただそれだけのこと。読書を心から楽しむには、どこまでも気の向くままでなければならない」

私の読書法はまさにこれです。若い頃は迷いつつも、勉強しようとか、役に立てようとかで本を読みましたが、それだとまったく面白くありません。考えてみれば、本を読んだだけで手軽にノウハウなど身に付くはずもないのです。それで面白そうな本、楽しそうな本を手当たり次第読む「悪食」型とでもいうべきスタイルになりました。

そんなふうですから、私の「座右の書」といったものは正直ないのですが、あえて言うなら、一つは『失敗の本質』でしょうか。すでに有名な本ですが、私の場合は役所で課長だったころ、ある財界の大御所と食事したときに「これは読んでおけ」と言われて読みました。過度の精神主義に陥り、合理的な判断を排除してしまった日本軍の特質を分析しています。

日本軍の文化・伝統を一番色濃く引き継いだのは官僚たちだと思います。その視点で読むと、「なるほど、確かにこんな失敗しているな」と非常に感心しました。日本人論、日本文化論としても示唆に富む名著だと思います。

同世代の作家に強く共感する。

栃木県の山間部にある、本屋もない小さな村で育ちました。それでも読書好きになったのは、小学校低学年のころに親戚のお姉さんが時々、本を送ってくれたおかげです。

1947年生まれですから、ベビーブーマー1期生です。「戦争」そのものは知りませんが、戦争の傷痕をひきずる社会の状況や風景は幼い記憶にけっこう鮮烈に残っています。そんな時代を知っている同じ世代には共通の感性がある気がします。

作家の宮本輝はその心に染み入る叙情性から大ファンなのですが、同い年であることも好きな理由だと思っています。その作品に37年という歳月をかけて完結させた『流転の海』シリーズがあります。主人公の「松坂熊吾」は作家の父がモデルでしょう。そしてその息子「伸仁」は作家とも私とも同い年なのです。

新着記事

Follow Us
日経転職版日経ビジネススクールOFFICE PASSexcedo日経TEST

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック