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台頭する女性起業家 テック利用、社会課題に挑む

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NIKKEI STYLE

女性起業家の台頭が目立ってきた。これまでは「生活者目線のアイデア」に光が当たっていたが、社会課題に対する意識が高まるにつれ、身近な問題をテクノロジーと組み合わせる課題解決型のビジネスに関心が集まるようになった。海外と比べ日本の女性起業家は少ないものの、コロナ禍で女性のリーダーシップへの信頼が上がったこともあり、テック企業やベンチャーキャピタル(VC)などが積極的な支援に乗り出している。

インターネット関連のショーケースは3月8日の国際女性デーに初めて、投資家などが参加するオンラインピッチイベントに女性起業家ばかりを招いた。過去のイベントを通じて起業家に女性が圧倒的に少ないのを問題と感じていたことや、森喜朗元首相による女性蔑視発言が世間の関心を集めたことなどが理由だ。社会解決型の事業であるかなどを基準に4社を選んだ。

その一つ、aba(千葉県船橋市)が開発するのは要介護者の排せつを匂いで検知するセンサーパッド。宇井吉美CEOは中学生のときに祖母が病気になり、家族介護者となった。家族の負担は大きく「人だけで人を救うには限界がある」と感じ、千葉工業大学の未来ロボティクス学科に進学した。介護実習でスタッフから「おむつを開けずに中をみたい」と言われ、センサーの開発に取り組んだ。

介護現場では決まった時間におむつを開けて確認し、排せつしていなければそのまま閉じる。逆に短時間に複数回の排せつがあれば漏れ出してシーツ交換が必要だ。排せつのタイミングで交換できれば介護者の負担は減らせる。

在学中の2011年に起業し、週末は介護現場で働いて現場の声を拾った。介護者にも要介護者にも使いやすいようベッドに敷く形状にし、19年に製品化した。製品開発の知見と介護業界のネットワークを生かし、今後はケアテック事業に参入する企業と協業して事業の拡大を目指す。

オングリットホールディングス(福岡市)の森川春菜社長が起業したのは、シングルマザーになった友人が就職に困っていると聞いたからだ。当時、ゼネコンに勤める夫からは人手不足を聞いていた。

両者を結びつけることで問題を解決できないか。森川社長は橋のひび割れなどカメラで構造物の損傷箇所を撮り、AI(人工知能)で自動図面化。人の手で補うことで作成時間を短縮する「マルッと図面化」を開発した。

シングルマザーだけでなく日本語が不自由な留学生や障害者に仕事を依頼してきた。全国には橋だけでも約70万ある。老朽化が進む中で構造物点検のニーズは高く、一方で技術者不足から効率化が求められている。道路照明などにも対象を広げている。

 帝国データバンクによれば、20年4月までの1年間で社長に就任した女性の63%は「創業」によるものだ。だが、就業構造基本調査によると起業者に占める女性の割合は19.3%(17年)にとどまる。

マスターカードが発表した「女性起業家のビジネス進出ランキング(2020)」では、日本は58カ国・地域中47位と低い。リポートは、日本の社会が個性や創造性を評価しないために女性の能力が抑圧されていると分析。一方で世界全体としてはニュージーランドのアーダーン首相やドイツのメルケル首相などを例に挙げ、コロナ禍で女性のリーダーシップが重要になっており、女性のエンパワーメントが危機からの回復には基礎となると指摘する。

デル・テクノロジーズによる女性起業家都市ランキング調査では、日本は資金調達やロールモデルへのアクセスのしやすさという点で海外に比べ遅れているという。リーマン・ショック後の経済回復において女性起業家への投資が5%以下にとどまったことを問題視し、10年以降は世界各地で女性起業家をサポートするイベントを開催している。

現在、オンラインのコミュニティーでは7万人が活動。日本からも100人が参加する。同社では今年、ビジネスアドバイザーや投資家とのコネクションを提供するイベントを開く予定だ。

国内でも女性起業家に積極投資するVCは多い。政府も25年に女性起業家比率30%以上を目指して「女性、若者/シニア起業家支援資金」などによる資金支援を進める。

シェアオフィスの米CICは昨年、アジア初の拠点を東京・虎ノ門に開いた。環境エネルギーなどに加え、女性の悩みを技術で解決するフェムテックやビューティーテックなど主に6分野でビジネスイベントを定期開催するほか、VCで働く女性と起業家を結びつける場を設けている。

CICジャパンの梅沢高明会長は「日本の産業競争力を高めるにはスタートアップの幅を広げる必要がある。女性や外国人が入ることでアイデアが広がり、海外からの注目も高くなる」と強調する。

需要創出 起爆剤に期待


 経済産業省が2016年にまとめた「女性起業家等実態調査」によれば、09年からの5年間で「趣味や特技を生かしたかった」という起業動機は減り、「事業経営という仕事に興味があった」「社会の役に立つ仕事がしたい」が増えた。リポートには、女性起業家は従来の業界慣習や固定観念を打ち破り需要を生み出す起爆剤としての可能性を秘めている、と記されている。取材をして、この傾向は強まっていると感じた。
 女性ならではの不安も当然ある。abaの宇井CEOは第2子妊娠の際「トップが事業にフルコミットできなくなる時期が生じれば、資金調達は困難になる」と懸念したが、投資家は祝福し、変わらず応援してくれたという。支える側も固定観念を打ち破ることで、起爆剤は作用するのだろう。
(中村奈都子)

[日本経済新聞朝刊2021年5月31日付]

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