美容雑誌などでの露出を増やしたほか、妊娠や出産を経てしみができる人が多いことに着目し育児サイトにも広告を出した。結果、飲み薬の売り上げは18年に前年比2.5倍、ブランド全体も1.3倍に伸びた。
ビタミン増量、飲みやすさ改善
コロナ禍ではこうした取り組みが強みになった。20年、インバウンド需要の減少を受け市場が縮むなかで、トランシーノの総売り上げはほぼ横ばい。しみの悩みの改善には時間がかかるため、メーキャップ品と違って影響を受けにくかったことが寄与した。
トランシーノが目指すのは、飲み薬とスキンケア用品のそれぞれが相互作用的に利用者を呼び込むサイクルだ。飲み薬にはサンプルの配布が難しいなどの面もあるが「効果を説明できるのが医薬品の強み」(倉本氏)。スキンケア用品は効果を明示することは難しいが、消費者に好まれる質感などを売り出せる。
ブランド立ち上げから15年がたち、消費者の求めるきれいな肌の価値観は「しみのない白い肌」だけではなく「透明感のある肌」「うるおいのある肌」など多様になった。スキンケアのためのサプリメントや飲み薬も浸透し、競合も増えた。医薬品としての効果を前面に出し、より多様な年代に裾野を広げる考えだ。
(松隈未帆)
2007年に立ち上げたしみ対策品のブランド。飲み薬と基礎化粧品を展開する。トラネキサム酸を配合し、しみ改善に効果があるとして売り出す。
[日経MJ 2021年5月28日付]
「ブランド VIEWS」記事一覧